INCREASING COMPETITIVENESS IN HIGH PRESSURE DIE CASTING WITH ADDITIVE MANUFACTURING

アディティブ・マニュファクチャリングが拓く高圧ダイカストの新時代:金型寿命と生産性を劇的に向上させる技術

本技術概要は、Armin WIEDENEGGER氏らによる学術論文「INCREASING COMPETITIVENESS IN HIGH PRESSURE DIE CASTING WITH ADDITIVE MANUFACTURING」に基づいています。この論文は、INDUSTRIJSKI FORUM IRT 2021で発表されたもので、CASTMANが技術専門家向けに分析・要約しました。

Figure 1: Test bars are put into an aluminum 226 melt for a total time of 32 hours to evaluate the thermo-chemical resistance.
Figure 1: Test bars are put into an aluminum 226 melt for a total time of 32 hours to evaluate the thermo-chemical resistance.

キーワード

  • 主要キーワード: 高圧ダイカスト アディティブ・マニュファクチャリング
  • 副次キーワード: コンフォーマルクーリング, 熱間工具鋼, 金型寿命, スクラップ率削減, サイクルタイム短縮, W360 AMPO

エグゼクティブサマリー

  • 課題: 高圧ダイカスト(HPDC)はコスト集約的なプロセスであり、サイクルタイムとスクラップ率が収益性に大きな影響を与えます。
  • 手法: 先進的なコンフォーマルクーリング設計と最新の熱間工具鋼(BÖHLER W360 AMPO)を用いたアディティブ・マニュファクチャリング(AM)技術を適用し、金型の性能を評価しました。
  • 主要なブレークスルー: AMで製造されたW360工具鋼は、従来の工具鋼(1.2343)やマレージング鋼(1.2709)と比較して、熱化学的耐性および熱機械的性能において圧倒的に優れた結果を示しました。
  • 結論: AM技術と適切な材料の組み合わせは、HPDCのサイクルタイムを短縮し、スクラップ率を大幅に削減することで、コスト削減、品質向上、CO2排出量削減を実現し、競争力を著しく向上させます。

課題:なぜこの研究がHPDC専門家にとって重要なのか

高圧ダイカスト(HPDC)は、大量生産において非常に効率的なプロセスですが、その起点となる金型は非常に高価です。従来の金型製造技術では、冷却流路の設計に限界があり、特に複雑な形状の部品では冷却効率の悪化がサイクルタイムの長期化やスクラップ率の増加に直結していました。これは、生産コストと収益性における長年の課題です。

近年、アディティブ・マニュファクチャリング(AM)技術が、この課題を解決する鍵として注目されています。AMを用いることで、製品形状に沿った複雑な「コンフォーマルクーリング」流路を持つ金型インサートの製造が可能となり、冷却性能を飛躍的に向上させることができます。しかし、AM製金型は従来品よりも高価であるため、その導入による経済的利益がコストを上回ることを明確に示す必要がありました。さらに、エネルギー集約的なHPDCプロセスにおいて、スクラップ率の低減は生産コストだけでなく、企業のCO2排出量削減という環境目標達成においても重要な意味を持ちます。本研究は、AM技術がHPDCの経済性、品質、そして環境持続可能性をいかに向上させるかを実証するものです。

アプローチ:方法論の解明

本研究では、HPDC金型に求められる過酷な条件下での性能を評価するため、詳細な比較試験が実施されました。

  • 評価材料:
    • マレージング鋼 1.2709(バルク材およびAM材)
    • 従来型熱間工具鋼 1.2343(バルク材、参照基準)
    • 高性能熱間工具鋼 W360(バルク材およびAM用粉末 W360 AMPO)
  • 製造技術: レーザー粉末床溶融結合(L-PBF)法を使用。1.2709サンプルはEOS M 290システムで、W360サンプルは予熱チャンバーを備えたRenishaw AM500Qシステムで造形されました。
  • 評価試験:
    1. 熱化学的耐性試験: 試験片をアルミニウム溶湯(Al 226)に32時間浸漬し、材料の溶解・損耗度を評価しました(図1参照)。
    2. 熱機械的性能試験: ノッチ付き試験片をアルミニウム溶湯への浸漬と水中での急冷を繰り返す熱サイクル試験(最大50,000サイクル)にかけました。試験後、断面を分析し、表面クラック(耐ノッチクラック性)と内部クラック(耐ヒートチェック性)を定量的に評価しました(図3参照)。

ブレークスルー:主要な発見とデータ

本研究は、AM技術がHPDC金型の性能を新たなレベルに引き上げることを具体的なデータで示しました。

発見1: AM製W360工具鋼の圧倒的な耐熱・耐食性能

熱化学的耐性試験において、AM製W360(W360 AMPO)は、参照基準である1.2343鋼や、そのバルク材であるW360さえも上回る最高の性能を示しました。対照的に、これまでAMで多用されてきたマレージング鋼1.2709は、わずか4~8時間で溶解し、HPDCの過酷な環境には不向きであることが明らかになりました(図2参照)。さらに、耐ノッチクラック性(図4)および耐ヒートチェック性(図5)の評価においても、AM製W360は他のすべての材料を凌駕する結果となり、長期にわたる金型寿命が期待できることを証明しました。

発見2: AMインサートによる劇的なスクラップ率削減とコスト効果

Druckguss Heidenau社との共同ケーススタディでは、AM製インサート導入の具体的な経済効果が示されました。従来7.1%だった総スクラップ率は、AMインサート導入後3.74%へと半減しました。このスクラップ率削減により、原材料(アルミ鋳物)のコストだけで年間194,000ユーロの削減が達成されました(図8参照)。これは、AMインサートの初期コスト増を補って余りある経済的利益です。

実践的な意味:R&Dと運用のための示唆

  • プロセスエンジニア向け: 本研究は、AMと高性能工具鋼(W360 AMPO)の組み合わせが、金型の熱管理を最適化し、サイクルタイム短縮とスクラップ率低減を可能にすることを示唆しています。特に、複雑形状部品のホットスポット対策に極めて有効です。
  • 品質管理チーム向け: 論文の図7にある熱画像は、AMインサートが金型表面温度を均一化し、熱放散を劇的に改善することを示しています。これにより、鋳造品の品質安定性が向上し、検査基準の見直しや不良率の根本的な低減につながる可能性があります。
  • 設計エンジニア向け: 論文の図6が示すように、故障解析、プロセスシミュレーション、応力シミュレーションに基づいた最適化設計が、金型性能を最大化する鍵となります。従来の設計ルールに囚われず、AMの設計自由度を最大限に活用したコンフォーマルクーリング流路を設計することが、競争優位性を確立するために不可欠です。

論文詳細


INCREASING COMPETITIVENESS IN HIGH PRESSURE DIE CASTING WITH ADDITIVE MANUFACTURING

1. 概要:

  • タイトル: INCREASING COMPETITIVENESS IN HIGH PRESSURE DIE CASTING WITH ADDITIVE MANUFACTURING (アディティブ・マニュファクチャリングによる高圧ダイカストの競争力向上)
  • 著者: Armin WIEDENEGGER¹, Günther PRUNNER², Bostjan NOTAR³
  • 発行年: 2021
  • 発行元/学会: INDUSTRIJSKI FORUM IRT 2021
  • キーワード: Additive manufacturing, Hot work tool steel, High pressure die casting, Powder bed fusion, Conformal cooling.

2. アブストラクト:

高圧アルミニウムダイカストのようなコスト集約的なプロセスにおいて、サイクルタイムとスクラップ率の削減は収益性に大きな影響を与えます。先進的なコンフォーマルクーリング設計と最新のBÖHLER熱間工具鋼を使用することで、金型ツールのサイクルタイムを短縮し、工具寿命を延ばすことができます。これは、機能領域における部品品質だけでなく、プロセス全体の品質も向上させることを意味します。これらの革新的なソリューションは、アディティブ・マニュファクチャリング(AM)の制約を理解して初めて実現可能です。その上で初めて、部品とプロセスの要件を包括的に理解することから、新しいツールコンセプトを開発するためのAMの可能性を引き出すことができます。熱管理は、プロセスチェーン全体の焦点となります。部品品質の向上に加え、熱管理の最適化は大幅なコスト削減につながり、この生産プロセスの競争力を高めます。同様に、AMツールはエネルギー消費の削減、ひいてはCO2排出量の削減にも貢献し、将来の(自動車)生産プロセスにおいてますます重要な役割を果たすでしょう。

3. イントロダクション:

通常、アディティブ・マニュファクチャリング(AM)について議論する際、最初に思い浮かぶのは、経済的に効率的な大量生産や二酸化炭素排出量の削減の可能性ではありません。AMは通常、ラピッドプロトタイピング、複雑な部品、または特注の医療部品と関連付けられています。この分野の驚異的な発展速度により、少量バッチサイズ(数千個まで)の生産がますます競争力を持つようになっています。プラスチック射出成形(PIM)や高圧ダイカスト(HPDC)のような伝統的なプロセスは、大量生産には非常に効率的ですが、出発点として高価なツーリングを必要とします。そのため、生産される部品の総数によっては、プラスチックや金属のAMの方が経済的になる場合があります。このことから、PIMやHPDC金型のツールメーカーが鋼部品のレーザーAM技術と直接競合していると結論付けたくなるかもしれませんが、これは早計です。近年、多くのツールメーカーは実際にレーザーAM技術を利用して、PIMやHPDC用途向けの複雑なコンフォーマルクーリング流路を持つインサートを製造し、従来のツール製作を補完しています。この新しいアプローチは、冷却流路の設計に大きな自由度をもたらし、前例のない冷却性能への道を開きます。工具鋼粉末グレードの最新の開発と合わせて、PIMおよびHPDCプロセス用の新世代のツールが今後数年で広く導入されるでしょう。コンフォーマルクーリングアプローチは、より短いサイクルタイムと低いスクラップ率を可能にします。レーザーAMで製造されたツールは、従来製造されたツールよりも高価ですが、冷却性能向上の経済的利益は、多くの場合、大量生産におけるこれらのコストを容易に上回ります。興味深いことに、レーザーAMツールの利点は、特にHPDCのようなエネルギー集約的な生産プロセスにおいて、生産中のCO2排出量にも大きな影響を与える可能性があります。コンフォーマルクーリングコンセプトを適用すると、複雑なアルミニウム鋳造部品のスクラップ率を大幅に削減できます。品質管理を通過しないすべての鋳造部品は、生産のCO2フットプリントを増加させます。その結果、AMツールの採用によるHPDCプロセスのスクラップ率の低下は、自動車生産で求められる総CO2フットプリントの削減に貢献することができます。

4. 研究概要:

研究トピックの背景:

高圧ダイカスト(HPDC)は、金型にとって非常に過酷なプロセスです。金型は最大700°Cの温度サイクル、最大100 MPaの圧力、最大100 m/sの充填速度に耐えなければなりません。したがって、HPDCにおける適切な材料選択は、長い工具寿命と部品品質にとって最も重要です。

先行研究の状況:

1.2343や1.2344のような一般的に知られる熱間工具鋼は、多くのHPDC金型の基礎であり、ゴールドスタンダードと広く見なされています。しかし、レーザーAMに関しては、これらの伝統的な熱間工具鋼は第一選択ではありませんでした。これらの鋼種の印刷性は高い炭素含有量(〜0.5%)によって悪影響を受け、そのためマレージング鋼1.2709のような鋼種が長年にわたって好まれてきました。熱間工具鋼を使用した場合の印刷品質の欠如により、現実的なHPDC条件下で印刷された部品を比較する研究はほとんど行われていませんでした。

研究の目的:

本研究の目的は、最新のレーザーAM技術と、voestalpine BÖHLER Edelstahl GmbH & Co KGによって製造された高性能マルテンサイト系熱間工具鋼W360のAM用粉末グレード(W360 AMPO)を用いて、HPDC用途におけるAM製金型の性能を実証することです。特に、熱化学的耐性および熱機械的性能を従来材と比較し、その優位性を定量的に評価します。さらに、ケーススタディを通じて、AM製金型インサートがもたらす経済的および環境的利益を明らかにします。

核心的研究:

本研究では、マレージング鋼1.2709、従来型熱間工具鋼1.2343、および高性能熱間工具鋼W360を、バルク材とAM材の両方で比較しました。熱化学的耐性試験と熱機械的性能試験という2つの主要な試験を通じて、材料の性能を評価しました。また、実際の生産現場でのケーススタディを行い、AM製コンフォーマルクーリングインサートの導入によるスクラップ率の削減、コスト削減、エネルギー消費量の削減効果を分析しました。

5. 研究方法

研究デザイン:

本研究は、実験室での材料性能評価と、実際の生産データに基づくケーススタディを組み合わせた比較研究として設計されました。材料評価では、複数の鋼種(1.2709, 1.2343, W360)と製造方法(従来、AM)を比較変数としました。

データ収集と分析方法:

  • 材料試験:
    • 熱化学的耐性試験:アルミニウム溶湯への浸漬時間に対する材料の質量損失を測定。
    • 熱機械的性能試験:熱サイクル後の試験片の横断面および縦断面を光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡で観察し、発生したクラック(表面クラック、内部クラック)を定量的に分析。
  • ケーススタディ:
    • Druckguss Heidenau社、DMG Mori社、voestalpine社の共同で実施。
    • 従来型インサートとAM製インサート使用時のスクラップ率、生産コスト、エネルギー消費量を比較分析。

研究トピックと範囲:

本研究は、高圧アルミニウムダイカストにおけるアディティブ・マニュファクチャリングの適用に焦点を当てています。特に、(1) AMに適した高性能熱間工具鋼の性能評価、(2) コンフォーマルクーリング設計の最適化、(3) AM製金型インサートがもたらす経済的・環境的インパクトの分析、という3つのトピックを扱っています。

6. 主要結果:

主要結果:

  • AM製W360工具鋼(W360 AMPO)は、熱化学的耐性において、参照材である1.2343やバルク材のW360をも上回る最も優れた性能を示した。
  • 熱機械的性能(耐ノッチクラック性、耐ヒートチェック性)においても、AM製W360は他のすべての材料を凌駕する最高の性能を示した。
  • ケーススタディにおいて、AM製インサートの導入により、総スクラップ率が7.1%から3.74%へと大幅に削減された。
  • スクラップ率の削減により、年間194,000ユーロの原材料コスト削減と、約160,000 kWhのエネルギー削減(CO2排出量80トンに相当)が達成された。
  • コンフォーマルクーリングによるサイクルタイムの5秒短縮が実現できれば、さらに年間384,000ユーロのコスト削減が可能と試算された。

図の名称リスト:

  • Figure 1: Test bars are put into an aluminum 226 melt for a total time of 32 hours to evaluate the thermo-chemical resistance.
  • Figure 2: Comparison of the thermo-chemical resistance after 32 hours of diving time in the aluminum melt.
  • Figure 3: For testing, the thermo-mechanical resistance machined samples were alternately immersed between liquid aluminum and a cooling medium. Transverse and longitudinal cross-sections were analyzed for surface and bulk cracks.
  • Figure 4: Comparison of the notch-crack resistance. The notch crack resistance is also a measure for cracks starting from the conformal cooling channel and hence a tool failure due to macroscopic cracks.
  • Figure 5: Comparison of the heat-checking resistance. The heat-checking resistance is a general measure on for the overall tool lifetime and required maintenance intervals
  • Figure 6: Development of an optimized design based on failure analysis, process, and stress simulation.
  • Figure 7: Comparison of the temperatures of the tool insert before spraying (Left picture: conventional; central & right picture: additive) [9].
  • Figure 8: Aluminum part costs and scrap rate costs
  • Figure 9: Energy consumption of high pressure die casting process [9]
  • Figure 10: Costs for Al-parts and scrap rate costs

7. 結論:

高圧アルミニウムダイカストのようなエネルギー集約的なプロセスにおいて、アディティブ・マニュファクチャリング製インサートを使用することで、スクラップ率はCO2削減ポテンシャルと収益性に大きな影響を与えます。これは、最先端の熱間工具鋼を使用することでさらに改善され、サイクルタイムの短縮と工具寿命の延長につながります。アディティブ・マニュファクチャリングの初期コストは従来の工具製造に比べて高いものの、結果として得られるアルミニウム部品の品質向上と熱管理の最適化は、大幅なコスト削減につながり、この製造プロセスの競争力を高めます。ダイカストプロセスにおけるアディティブ・マニュファクチャリング製ダイインサートの使用は、技術的にも経済的にも生態学的にも大きな利点をもたらします。

Figure 6: Development of an optimized design based on failure analysis, process, and stress simulation.
Figure 6: Development of an optimized design based on failure analysis, process, and stress simulation.
Figure 7: Comparison of the temperatures of the tool insert before spraying (Left picture: conventional; central & right picture: additive) [9].
Figure 7: Comparison of the temperatures of the tool insert before spraying (Left picture: conventional; central & right picture: additive) [9].

8. 参考文献:

네, 요청하신 참고 문헌 목록을 마크다운 리스트 형식으로 정리해 드릴게요.

  • Lee, K.-H.: Integrating carbon footprint into supply chain management: The case of Hyundai Motor Company (HMC) in the automobile industry, Journal of Cleaner Production, July 2011, 19(11), pp 1216-1223
  • https://www.volkswagenag.com/en/news/stories/2019/02/clean-mobility-starts-with-suppliers.html# (24.3.2021)
  • Over, C.: Generative Fertigung von Bauteilen aus Werkzeugstahl X38CrMoV5-1 und Titan TiAl6V4 mit 'Selective Laser Melting', Dissertation, RWTH Aachen, 2003
  • Klocke, F.; Arntz, K.; Teli, M.; Winands, K.; Wegener, M.; Oliari, S.: State-of-the-art Laser Additive Manufacturing for Hot-work Tool Steels, Procedia CIRP, 63 (2017), pp 58-63
  • Andersson, H.: Thermal fatigue and soldering experiments of additively manufactured hot work tool steel, Master-thesis, Faculty of Health, Science and Technology, Karlstads University, 2018
  • Berbić, M.; Hofer-Hauser, P.; Gschwandtner, R.; Ognianov, M.; Leuders, S.: Glatz, S.: Lochbichler, C.; Mangelberger, M.: Thermomechanical and thermochemical endurance of hot work tool steels and PVD-coatings for high pressure die casting, 60th IFC Portorož, 2020
  • voestalpine BÖHLER Edelstahl GmbH & Co KG: Product description BÖHLER W360 ISOBLOC, https://www.bohler.at/app/uploads/sites/92/2020/02/productdb/api/w360de.pdf, 2021 (24.3.2021)
  • voestalpine BÖHLER Edelstahl GmbH & Co KG. Product description BÖHLER W360 AMPO https://www.bohler-edelstahl.com/de/products/w360-ampo/, 2021 (24.3.2021)
  • Sieger, A.; Nitsch, M.: "ADDITIVE MANUFACTURING OF TOOLS – OPPORTUNITIES AND RISKS", Euroguss 2020, Nürnberg, 2020
  • Favi, C.; Germani, M.; Mandolini, M.: Analytical Cost Estimation Model in High Pressure Die Casting, Procedia Manufacturing, 11 (2017), pp 526-535
  • Boos, W.; Pitsch, M.; Salmen, M.; Wiese, J.; Kelzenberg, C.; Lange, J. d.: "Successful Calculation in Tool Making", WZL & WBA Aachen, 2016
  • https://www.custompartnet.com/estimate/die-casting-std/ (Retrieval: 24.03.2021)

専門家Q&A: よくある質問への回答

Q1: なぜマレージング鋼1.2709だけでなく、新しい熱間工具鋼W360をAMで評価したのですか? A1: 論文では、マレージング鋼1.2709は長年AMで好まれてきた材料ですが、HPDCのような過酷な環境では熱化学的耐性が不十分であることが示されています(図2)。W360は高い熱間硬度、靭性、焼戻し抵抗性を有するため、HPDC用途のAM材料として理想的な候補であり、その優れた性能を実証するために本研究で評価されました。

Q2: AM製W360がバルク材のW360よりも優れた性能を示した(図2)のはなぜですか? A2: 論文ではこの理由について直接言及していませんが、一般的にL-PBFプロセスによる急速凝固は、微細で均一な金属組織を形成することが知られています。この微細組織が、従来製法によるバルク材と比較して、より優れた熱化学的耐性をもたらした可能性があります。

Q3: ケーススタディで示された194,000ユーロのコスト削減は、AMインサートの追加コストを考慮しても正当化できますか? A3: はい、正当化できます。論文の表1によると、AMインサートは従来品より1個あたり2,000ユーロ高価で、年間10個使用するため追加コストは20,000ユーロです。しかし、スクラップ削減による194,000ユーロの節約からこの追加コストを差し引いても、年間174,000ユーロの純粋な節約が実現できており、投資対効果は非常に高いと言えます。

Q4: コンフォーマルクーリングを設計する際の最も一般的な落とし穴は何ですか? A4: 論文のセクション3で指摘されているように、3つの一般的な問題があります。(1) 設計者が従来の金型設計ルールをコンフォーマルクーリングにそのまま適用してしまうこと。(2) AMに適用すべき設計ルールを明確に理解していないこと。(3) 金型にかかる機械的負荷とそれがもたらす潜在的な悪影響(クラックなど)を十分に認識していないことです。

Q5: CO2排出量削減の算出根拠は何ですか? A5: 図9と関連する記述によると、スクラップ率の削減によって節約された年間エネルギー消費量(約160,000 kWh)に基づいています。これは、不良品を再溶解・再生産するために必要なエネルギーが不要になることを意味します。このエネルギー節約量を、平均的な電力構成におけるCO2排出係数を用いて換算し、約80トンのCO2削減という結果を導き出しています。


結論:品質と生産性の向上への道

高圧ダイカスト業界が直面するコスト、品質、そして環境負荷という複合的な課題に対し、本研究は明確な解決策を提示しています。高圧ダイカスト アディティブ・マニュファクチャリングと、W360 AMPOのような高性能熱間工具鋼の組み合わせは、もはや未来の技術ではなく、競争力を向上させるための実践的なソリューションです。コンフォーマルクーリングによる熱管理の最適化は、スクラップ率を劇的に削減し、サイクルタイムを短縮することで、直接的なコスト削減と品質向上を実現します。

CASTMANでは、最新の業界研究を応用し、お客様の生産性と品質の向上を支援することに尽力しています。本稿で議論された課題がお客様の事業目標と一致する場合、ぜひ当社のエンジニアリングチームにご相談ください。これらの先進的な原則をお客様のコンポーネントにどのように実装できるか、共に探求しましょう。

著作権情報

  • このコンテンツは、Armin WIEDENEGGER氏らによる論文「INCREASING COMPETITIVENESS IN HIGH PRESSURE DIE CASTING WITH ADDITIVE MANUFACTURING」に基づく要約および分析です。
  • 出典: INDUSTRIJSKI FORUM IRT, forum-irt.si, Portorož, 21. in 22. junij 2021

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