RE/Al比が鍵:AE系マグネシウム合金の衝撃強度を最大化する新知見
本技術概要は、[K. Braszczyńska-Malik, M.A. Malik]著、[ARCHIVES of FOUNDRY ENGINEERING] ([2020]) 発行の学術論文「[Impact Strength of AE-type Alloys High Pressure Die Castings]」に基づいています。


キーワード
- 主要キーワード: AE系マグネシウム合金の衝撃強度
- 副次キーワード: 高圧ダイカスト、希土類元素、Al-RE系金属間化合物、RE/Al比、機械的特性
エグゼクティブサマリー
- 課題: 高温特性を改善するために希土類元素(RE)を添加したマグネシウム合金は、その衝撃強度にどのような影響を受けるか、特に高圧ダイカスト(HPDC)プロセスにおいて解明する必要がありました。
- 手法: アルミニウム(5 wt%)の含有量を一定に保ち、希土類元素の含有量(1, 3, 5 wt%)を変えた3種類のAE系マグネシウム合金を、コールドチャンバー式高圧ダイカスト機で製造し、シャルピー衝撃試験と微細構造解析を行いました。
- 重要なブレークスルー: 合金の化学組成における希土類元素とアルミニウムの比率(RE/Al比)が低いほど、材料の衝撃強度が高くなることが明らかになりました。
- 結論: 高圧ダイカストで製造されるAE系合金部品において高い衝撃強度が要求される場合、RE/Al比を低く抑えることが極めて重要な設計指針となります。
課題:この研究がHPDC専門家にとって重要な理由
自動車、航空宇宙、エレクトロニクス産業において、軽量化は常に最優先課題です。マグネシウム合金は、その低密度から非常に魅力的な材料ですが、一般的なAM系やAZ系(Mg-Al系)合金は、高温(393K以上)での機械的特性が低いという課題を抱えています。これは、微細構造中に存在するMg17Al12相が、高温下での粒界すべりを引き起こし、クリープ変形を促進するためです。
この問題を解決するため、希土類元素(RE)を添加したAE系(Mg-Al-RE系)合金が開発されました。REはアルミニウムと結合して熱的に安定なAl-RE系金属間化合物を形成し、有害なMg17Al12相の生成を抑制します。これにより高温特性は向上しますが、一方で、これらの安定な金属間化合物が、もう一つの重要な機械的特性である「衝撃強度」にどのような影響を与えるかは、十分に解明されていませんでした。本研究は、この知識のギャップを埋め、高圧ダイカスト(HPDC)部品の性能を最適化するための重要な知見を提供することを目的としています。
アプローチ:研究手法の解明
本研究では、AE系マグネシウム合金の衝撃強度に対する希土類元素(RE)含有量の影響を評価するため、体系的な実験が行われました。
- 材料: ベースとなるAM50市販マグネシウム合金に、セリウムリッチのミッシュメタル(希土類元素の混合物)を添加し、3種類の実験合金(AME501, AME503, AME505)が作製されました。アルミニウム含有量は全合金で4.9 wt%に固定し、RE含有量はそれぞれ0.73 wt%、2.86 wt%、4.92 wt%と変化させました(Table 1参照)。
- 製造プロセス: 試験片は、型締力3.8 MNの一般的なコールドチャンバー式高圧ダイカスト機を用いて製造されました。これにより、実際の工業生産に近い条件下での材料特性が評価されています。
- 評価方法:
- 微細構造解析: 走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、各合金の微細構造(相の分布や形態)を詳細に観察しました。
- 衝撃強度試験: シャルピーVノッチハンマー(衝撃エネルギー150 J)を使用し、室温で衝撃強度(IS)を測定しました。試験片は、Figure 1に示す通り、ノッチなしの角棒(6 mm x 6 mm x 55 mm)が用いられました。
この厳密なアプローチにより、合金組成、微細構造、そして最終的な衝撃強度の間の明確な因果関係を明らかにすることができました。
ブレークスルー:主要な研究結果とデータ
本研究により、AE系マグネシウム合金の衝撃強度に関して、設計と材料選定に直接影響を与える2つの重要な発見がありました。
発見1:RE/Al比が衝撃強度を直接的に決定する
最も重要な発見は、合金中のRE/Al比と衝撃強度の間に明確な逆相関関係があることです。Table 2に示されるように、RE/Al比が最も低いAME501合金は、最も高い衝撃エネルギー(13 J)と衝撃強度(36.1 J/cm²)を示しました。一方、RE含有量を増やしRE/Al比が高くなるにつれて、衝撃エネルギーはAME503で9 J、AME505では8 Jへと著しく低下しました。これは、RE含有量の増加が、材料の靭性を低下させることを明確に示しています。
発見2:微細構造の変化が衝撃強度の低下を説明する
衝撃強度の違いは、合金の微細構造によって説明できます。Figure 2のSEM画像が示すように、調査された合金の微細構造は、主にα-Mg固溶体と、Al11RE3およびAl10Ce2Mn7といったAl-RE系金属間化合物で構成されていました。重要なのは、RE/Al比が高くなるにつれて、硬くてもろいAl11RE3金属間化合物の体積分率が増加することです。このもろい相が微細構造中に多く存在することが、衝撃を受けた際の亀裂の発生と伝播を容易にし、結果として材料全体の衝撃吸収エネルギーを低下させる原因となります。Figure 4~6の破面観察でも、延性破壊を示すディンプルが一部に見られるものの、全体としてはマグネシウム特有のへき開破壊や準へき開破壊が支配的であり、特に金属間化合物上で二次亀裂が観察されました。
研究開発および実務への応用の可能性
本研究の結果は、高圧ダイカスト部品の設計・製造に携わる各分野の専門家にとって、具体的な指針を提供します。
- プロセスエンジニア向け: この研究は、特定の衝撃強度の目標値を達成するためには、合金の化学組成、特にRE/Al比の管理が極めて重要であることを示唆しています。高い耐衝撃性が求められる部品では、RE含有量を必要最小限に抑えた合金グレードの選定が推奨されます。
- 品質管理チーム向け: 論文のTable 2のデータは、RE/Al比と衝撃強度の間に直接的な相関関係があることを示しており、これは高衝撃用途向けの合金材料を受け入れる際の新しい品質検査基準を策定する上で有用な情報となり得ます。
- 設計エンジニア向け: この研究結果は、材料選定段階における重要なトレードオフを浮き彫りにします。希土類元素の添加は高温クリープ耐性の向上に有効ですが、それは室温での衝撃強度の低下と引き換えになります。動的荷重や衝撃を受ける可能性のある部品を設計する際には、このRE/Al比によって支配される特性のトレードオフを初期段階で十分に考慮する必要があります。
論文詳細
Impact Strength of AE-type Alloys High Pressure Die Castings
1. 概要:
- 論文名 (Title): Impact Strength of AE-type Alloys High Pressure Die Castings
- 著者 (Author): K. Braszczyńska-Malik *, M.A. Malik
- 発行年 (Year of publication): 2020
- 掲載誌/学会 (Journal/academic society of publication): ARCHIVES of FOUNDRY ENGINEERING, Volume 20, Issue 3/2020
- キーワード (Keywords): AE-type magnesium alloy, Aluminum, Rare earth elements, High pressure die casting, Impact strength
2. 論文要旨 (Abstract):
高圧ダイカスト法で製造されたAE系マグネシウム合金のシャルピー衝撃試験の結果を示す。希土類元素(RE)の重量分率が異なる3つの合金(例:1, 3, 5 wt%)と、アルミニウムの質量分率が同じ(5 wt%)合金が準備された。鋳造品は、型締力3.8 MNの一般的なコールドチャンバー式高圧ダイカスト機を使用して製造された。微細構造解析は走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて行われた。衝撃強度(IS)は、衝撃エネルギー150 JのシャルピーVハンマーを用いて測定された。実験合金の微細構造は、α-Mg固溶体と、Al11RE3、Al10Ce2Mn7、Al2REの金属間化合物で構成されていた。得られた結果は、希土類元素とアルミニウムの比率が調査材料の衝撃強度に大きな影響を与えることを示している。合金の化学組成におけるRE/Al比が低いほど、材料の衝撃強度が高くなる結果となった。
3. はじめに (Introduction):
高圧ダイカスト(HPDC)法は、寸法精度が高い複雑な形状の薄肉部品の生産を可能にし、自動車、航空宇宙、電子産業などの用途で非常に魅力的である。近年、この技術は特にアルミニウム合金向けに発展してきた。その後、マグネシウム合金の集中的な開発により、この方法がこれらの合金から部品を製造するために広く使用されるようになった。マグネシウム合金は、その低密度と残留特性のユニークな組み合わせにより、現在非常に望まれている。コールドチャンバーおよびホットチャンバーダイカスト機の両方で高圧ダイカストが、マグネシウム(アルミニウムと同様)合金の鋳造に使用される。マグネシウム合金は、鋳造性や流動性といった非常に優れた鋳造特性を提供するが、保護雰囲気や、アルミニウム合金とは異なる射出パラメータおよび金型設計が必要であることに注意すべきである。
4. 研究の概要:
研究トピックの背景:
高圧ダイカスト(HPDC)は、複雑な薄肉部品を製造するための効率的な方法である。特にマグネシウム合金は低密度であるため、多くの産業で需要が高い。
従来の研究の状況:
AM系やAZ系などの一般的なMg-Al系合金は、高温での特性が低いという欠点がある。これは、Mg17Al12相の存在に起因する。この問題を解決するため、希土類元素(RE)を添加し、熱的に安定なAl-RE系金属間化合物を形成させることで高温特性を改善する研究が行われてきた。以前の研究[12-14]では、これらの高圧ダイカストMg-Al-RE合金の引張特性における微細構造と特性が報告されていた。
研究の目的:
本研究では、高圧ダイカストで製造されたアルミニウムと希土類元素を含むAE系マグネシウム合金の衝撃強度に対する希土類元素の質量分率の影響を提示する。
研究の核心:
アルミニウム含有量を5 wt%で一定に保ち、希土類元素の含有量を1, 3, 5 wt%と変化させた3種類のAE系合金(AME501, AME503, AME505)をHPDC法で製造し、それらの衝撃強度と微細構造を比較評価した。
5. 研究方法
研究デザイン:
3種類の異なる化学組成を持つAE系マグネシウム合金を比較する実験的研究。
データ収集・分析方法:
- 材料準備: AM50市販合金をベースに、セリウムリッチのミッシュメタルを添加して実験合金を製造。
- 鋳造: 型締力3.8 MNのコールドチャンバー式高圧ダイカスト機を使用。
- 微細構造分析: 走査型電子顕微鏡(JOEL JSM-6610LV)を使用。試料は標準的な金属組織学的手法で準備され、1%硝酸エチルアルコール溶液でエッチングされた。
- 機械的特性試験: ASTM規格に基づき、シャルピーVハンマー(衝撃エネルギー150 J)を用いて室温で衝撃強度を測定。試験片はノッチなしの6 mm x 6 mm x 55 mmの角棒。
研究対象と範囲:
研究対象は、高圧ダイカスト法で製造されたAE系マグネシウム合金(AME501, AME503, AME505)。研究範囲は、希土類元素の含有量が衝撃強度と微細構造に与える影響の評価に限定される。
6. 主要な結果:
主要な結果:
- 調査したAME系合金の微細構造は、主にα(Mg)固溶体のデンドライトとAl11RE3相で構成されていた。この主要な構造構成要素の体積分率は、合金中のRE/Al比の上昇とともに増加した。
- Mg17Al12やMg12REのような金属間化合物は、調査した合金には存在しなかった。
- 合金の相組成の変化は、調査した鋳造品の衝撃強度に違いをもたらした。RE/Al比が低いAME501合金は13 Jの衝撃エネルギーを示したのに対し、RE/Al比が高いAME505合金は8 Jであった(Table 2)。
- RE/Al比の増加は、Al11RE3相の体積分率を増加させ、合金の衝撃強度の低下に寄与した。
- 破面は、マグネシウムの六方最密充填構造に典型的な、もろいへき開破壊または準へき開破壊を示した。それにもかかわらず、観察された破面は、目に見える伸びと小さなディンプルの存在によって特徴付けられた。
図の名称リスト:
- Fig. 1. Macrograph of HPDC AME series alloy impact test specimens with dimensions in mm.
- Fig. 2. Microstructure of AME501 (a), AME503 (b) and AME505 (c) magnesium alloy casts obtained using cold chamber die casting machine; scanning electron microscopy
- Fig. 3. Macrographs of samples after impact test
- Fig. 4. SEM micrographs of fracture surface of HPDC AME501 alloy (after impact test)
- Fig. 5. SEM micrographs of fracture surface of HPDC AME503 alloy (after impact test)
- Fig. 6. SEM micrographs of fracture surface of HPDC AME505 alloy (after impact test)



7. 結論:
高圧ダイカスト技術により、α(Mg)固溶体とAl-RE系金属間化合物によって特徴付けられるAE系マグネシウム合金から最終部品を得ることができた。合金の化学組成における低いRE/Al比は、高いレベルの衝撃強度に寄与した。RE/Al比の増加は、合金の塑性の低下に寄与し、材料のより低い衝撃強度をもたらす。
8. 参考文献:
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専門家Q&A:トップの質問に回答
Q1: なぜシャルピー衝撃試験でノッチなしの試験片が使用されたのですか?
A1: 論文では、試験片の寸法(6 mm x 6 mm x 55 mm)が示され、「ノッチなし(without a notch)」であったと明記されています(Fig. 1)。その理由は明確には述べられていませんが、ノッチなし試験片の使用は、一般的に材料が亀裂の「発生」に抵抗する能力を測定するために行われます。これは、予め応力集中部が存在しない部品の、材料自体の靭性を評価する上で有益なアプローチです。
Q2: 論文では、この衝撃強度の挙動は「引張強度とは逆である」と述べられています。このトレードオフについて詳しく説明してください。
A2: はい、論文(3ページ)では、参考文献[14]を引用し、RE含有量が多いAME505合金の方が、AME501合金よりも高い極限引張強さ(それぞれ248 MPaと224 MPa)を示したことを指摘しています。これは、RE含有量と共に増加するAl11RE3金属間化合物が転位の動きを阻害し、静的な強度を高めるためです。しかし、衝撃強度に関しては、この同じもろい相が亀裂の起点となり、靭性を低下させます。これは、静的強度と耐衝撃性の間にある重要な設計上のトレードオフを明確に示しています。
Q3: Al11RE3相は、破壊メカニズムにおいて具体的にどのような役割を果たしていますか?
A3: 合金の微細構造は、α-MgマトリックスとAl11RE3金属間化合物で構成されています。論文によると、この相の体積分率はRE/Al比とともに増加します。破面観察(Figs. 4-6)では、へき開破壊や準へき開破壊が支配的であり、特に金属間化合物の上で二次亀裂が見られました。これは、より硬くてもろいAl11RE3相が、衝撃時に亀裂が伝播しやすい経路を提供し、結果として材料全体の衝撃エネルギー吸収量を低下させることを示唆しています。
Q4: Mg17Al12やMg12REのような他の金属間化合物は観察されましたか?
A4: 論文の2ページで、「Mg17Al12(Mg-Al系に特徴的)やMg12RE(Mg-RE合金に典型的)のような金属間化合物は、調査した合金には存在しなかった」と明確に述べられています。これは、添加された希土類元素が、より安定なAl-RE化合物を形成することによって、望ましくないMg17Al12相の生成を効果的に抑制したことを意味します。
Q5: これらの高圧ダイカスト(HPDC)の結果は、同じ合金の重力鋳造の結果と比べてどうですか?
A5: 論文の3ページで、この傾向(RE含有量が高いほど衝撃強度が低い)は、重力鋳造で得られた結果[13]と類似していると述べられています。しかし、HPDC材の絶対値は著しく高かったです。例えば、重力鋳造されたAME505合金の衝撃エネルギーはわずか3 Jであったのに対し、HPDC版では8 Jでした。これは、HPDCにおける急速凝固が、より微細な微細構造をもたらし、機械的特性を向上させるという利点を示しています。
結論:より高い品質と生産性への道を開く
本研究は、AE系マグネシウム合金の衝撃強度を決定づける上で、化学組成、特にRE/Al比が極めて重要であることを明らかにしました。RE/Al比を低く抑えることで、衝撃強度を大幅に向上させることが可能です。この知見は、高温特性と耐衝撃性のバランスを取る必要がある部品の材料選定と設計において、明確な指針となります。
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著作権情報
- このコンテンツは、"[K. Braszczyńska-Malik, M.A. Malik]"氏による論文"[Impact Strength of AE-type Alloys High Pressure Die Castings]"を基にした要約および分析です。
- 出典: [https://doi.org/10.24425/afe.2020.133321]
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