3Dプリンティング製鋳造パターンの品質を左右する「表面うねり」を解明:コストと納期を最適化する技術選定ガイド
この技術概要は、[Paweł ZMARZŁY, Damian GOGOLEWSKI, and Tomasz KOZIOR]によって執筆され、[BULLETIN OF THE POLISH ACADEMY OF SCIENCES TECHNICAL SCIENCES]([2023]年)に掲載された学術論文「[Assessment of surface waviness of casting patterns made using 3D printing technologies]」に基づいています。

キーワード
- 主要キーワード: 3Dプリンティング 鋳造パターン
- 副次キーワード: 表面うねり, FDM, PJM, SLS, 鋳造品質, アディティブマニュファクチャリング
エグゼクティブサマリー
- 課題: 従来の鋳造パターンの製造方法は時間とコストがかかる一方、3Dプリンティングがその代替となりつつあるが、最終的な鋳造品質に影響を与える「表面うねり」への影響は十分に解明されていなかった。
- 手法: 3つの異なる3Dプリンティング技術(PJM、FDM、SLS)で、積層厚を変更して鋳造パターンを製作し、その表面うねりを従来の切削加工(木材、アルミニウム)によるパターンと比較評価した。
- 重要なブレークスルー: PJM技術が最も滑らかな表面(最小のうねり)を達成し、FDM技術が最も粗い表面(最大のうねり)となった。特にSLS技術では、積層厚を厚くするとうねりが減少するという直感に反する結果が示された。
- 結論: 3Dプリンティング技術の種類と積層厚の選択が、鋳造パターンの表面品質を決定的に左右し、高品質な仕上げにはPJM技術が最適であることが明らかになった。
課題:なぜこの研究がHPDC専門家にとって重要なのか
鋳造業界、特に試作品や小ロット生産の分野では、開発リードタイムの短縮とコスト削減が常に求められています。木材や金属のCNC切削加工といった従来の鋳造パターン製作法は、高品質なものができる一方で、多大な時間と費用、そして熟練した技術者を必要とします。
この課題に対する強力な解決策として、3Dプリンティング(アディティブマニュファクチャリング)が急速に普及しています。しかし、その導入は新たな技術的課題を生み出します。それは、製作されたパターンの「表面品質」です。多くの研究が「表面粗さ」に焦点を当ててきましたが、より大きな波長を持つ「表面うねり」は、鋳型の品質、ひいては最終的な鋳造品の品質に直接影響を与えるにもかかわらず、その評価は十分ではありませんでした。特に、3Dプリンティングの基本パラメータである「積層厚」が、この表面うねりにどう影響するのかは、これまでブラックボックスでした。本研究は、この知識のギャップを埋め、エンジニアが用途に応じて最適な技術とパラメータを選択するための科学的根拠を提供することを目的としています。
アプローチ:研究手法の解明
本研究では、鋳造パターンの表面うねりに対する3Dプリンティング技術とパラメータの影響を定量的に評価するため、厳密な比較実験が行われました。
- 手法1:3Dプリンティング技術によるパターン製作 3つの主要なアディティブマニュファクチャリング技術が選択され、それぞれ異なる材料と積層厚(Lt)でテストパターンが製作されました。
- PJM (PolyJet Matrix): 材料にFullCure 720を使用し、積層厚は0.016 mmと0.032 mmの2水準で評価。
- FDM (Fused Deposition Modeling): 材料にABS P430を使用し、積層厚は0.254 mmと0.33 mmの2水準で評価。
- SLS (Selective Laser Sintering): 材料にPA2200ポリアミド粉末を使用し、積層厚は0.1 mmと0.2 mmの2水準で評価。
- 手法2:従来工法による比較用パターン製作 3Dプリンティング技術との比較基準として、従来工法によるパターンも製作されました。
- 木材の切削加工
- PA6アルミニウム合金の切削加工
- 手法3:表面うねりの測定 製作された全パターンの表面うねりは、高精度の接触式測定システムであるTaylor Hobson Form Talysurf PGI 1200を用いて測定されました。これにより、Wa(算術平均うねり)、Wq(二乗平均平方根うねり)などの主要なうねりパラメータが取得され、客観的なデータに基づいた比較が可能となりました。
ブレークスルー:主要な研究結果とデータ
本研究から、鋳造パターンの表面品質を最適化するための、具体的かつ実践的な知見が得られました。
発見1:PJM技術が圧倒的に優れた表面仕上げを実現
測定されたうねりパラメータは、技術間で顕著な差を示しました。Table 2のデータによると、算術平均うねり(Wa)は、PJM技術(積層厚0.016 mm)で1.29 µmという最小値を記録しました。これは、3Dプリンティング技術の中で最も滑らかな表面を生成できることを示しています。対照的に、FDM技術(積層厚0.33 mm)ではWa値が33.87 µmに達し、最も大きなうねりを持つ表面となりました。この結果は、超高精細な表面が要求されるパターンにはPJM技術が最適であることを明確に示しています。
発見2:SLS技術における積層厚と表面うねりの直感に反する関係
FDMおよびPJM技術では、積層厚を増やすとうねりが増大するという予測通りの結果が得られました。しかし、SLS技術では逆の傾向が見られました。積層厚が薄い0.1 mmの場合のWa値は10.5 µmであったのに対し、厚い0.2 mmでは6.42 µmにまで減少し、表面品質が向上しました。論文では、この現象について、薄い粉末層に対してレーザーエネルギーが集中しすぎ、局所的な過剰溶融や「フラッシュ」が発生することが原因である可能性を指摘しています。これは、SLSプロセスにおいて、単に積層を薄くするだけでは必ずしも品質向上に繋がらないことを示す重要な発見です。
R&Dおよび製造現場への実践的な示唆
- プロセスエンジニアへ: 最高の表面品質が求められる場合、PJM技術が第一選択肢となります。FDMやPJMを使用する際は、印刷時間とのトレードオフを考慮しつつ、可能な限り薄い積層厚を選択することがうねりの低減に寄与します。一方、SLSでは、より厚い積層厚とレーザーエネルギーの最適化が、表面品質向上の鍵となる可能性があります。
- 品質管理チームへ: 本論文のTable 2およびTable 3のデータは、各製造法で達成可能な表面うねりの具体的なベンチマークを提供します。例えば、切削加工された木製パターン(Wa = 6.33 µm)よりも優れた表面品質が要求される場合、FDMではなく、PJMまたは最適化されたSLSを選択する必要があることが分かります。これは、新しい品質検査基準を策定する際の貴重な情報となり得ます。
- 設計エンジニアへ: 鋳造パターンの設計段階で、最終製品に求められる表面品質から逆算して3Dプリンティング技術を選択することが重要です。この研究結果は、どの技術がどの程度の表面仕上げを実現できるかを示しており、設計の初期段階で製造可能性を考慮に入れるための指針となります。
論文詳細
Assessment of surface waviness of casting patterns made using 3D printing technologies
1. 概要:
- タイトル: Assessment of surface waviness of casting patterns made using 3D printing technologies
- 著者: Paweł ZMARZŁY, Damian GOGOLEWSKI, and Tomasz KOZIOR
- 出版年: 2023
- 掲載誌/学会: BULLETIN OF THE POLISH ACADEMY OF SCIENCES TECHNICAL SCIENCES
- キーワード: 3D printing; foundry industry; casting pattern; surface waviness.
2. 概要:
3Dプリンタの応用は、従来の製造方法と比較して、鋳造パターンを製造するプロセスを大幅に改善する。鋳造パターンの表面テクスチャの品質は、鋳型の品質、ひいては最終的な鋳造品の品質に影響を与えるため、極めて重要であることに留意すべきである。ほとんどの研究では、表面テクスチャは2Dまたは3Dの粗さパラメータを分析することによって調査される。これは特定の制限がある。なぜなら、3Dプリンティングの場合、技術的パラメータの影響は、表面のうねりのような、より長い範囲の不規則性に対してより顕著に現れるからである。本稿では、鋳造パターンの表面のうねりの形成に対する3Dプリンティングの積層厚の影響を分析した。印刷技術と印刷材料が異なる3つの3Dプリンタがテストされた:PJM(PolyJet Matrix)、FDM(熱溶解積層法)、SLS(選択的レーザー焼結)。さらに、従来の方法で製造されたパターンの表面うねりも分析された。表面うねりは、Form Talysurf PGI 1200測定システムを使用して測定された。研究の予備的な結果は、積層厚がFDM、PJM、およびSLSアディティブテクノロジーで作られた鋳造パターンの表面のうねりパラメータの値に著しく影響することを示した。研究結果は、Wa、Wq、Wtパラメータで定義される最小の表面うねりはPJM技術を使用して印刷されたパターンで得られ、最高値はFDM技術を使用した場合に記録されたことを示した。
3. 序論:
鋳造業界のダイナミックな発展は、鋳造パターンと鋳型を製造するための現代的な製造方法の導入を必要としている。鋳造業界の主要な分野の1つは、鋳型を製造するために使用される鋳造パターンの生産である。従来の鋳造パターンは、木材や金属合金から機械加工によって作られる。プラスチック製のパターンもある。しかし、これらの方法はすべて時間と費用がかかる。現在、テスト用の鋳造パターンを迅速に製造し、その形状を迅速に修正できるソリューションが人気を集めている。これには、3Dプリンティングとしても知られるアディティブテクノロジーが含まれる。本稿では、3つの異なるアディティブテクノロジーを使用して鋳造パターンを製造し、その表面うねりを評価する。
4. 研究の概要:
研究トピックの背景:
鋳造業界では、特に試作品やプロトタイプの開発において、迅速なパターン製作が求められている。従来の木材や金属の機械加工による方法は、時間とコストの面で制約が大きい。このため、3Dプリンティングのようなアディティブテクノロジーが、その代替手段として広く利用され始めている。
先行研究の状況:
アディティブテクノロジーに関する多くの研究は、製造された部品の寸法・形状精度や、印刷方向の変更に伴う表面「粗さ」の品質評価に焦点を当ててきた。しかし、積層プロセスに起因する、より長い波長の不規則性である「表面うねり」に対する、積層厚などの重要な製造パラメータの影響を評価した研究は不足している。表面うねりは最終的な鋳造品の品質に直接影響するため、この分野の研究は不可欠である。
研究の目的:
本研究の目的は、3つの主要な3Dプリンティング技術(PJM、FDM、SLS)を用いて製作された鋳造パターンの表面うねりに対して、材料の単層の厚さ(積層厚)が与える影響を分析・評価することである。また、その結果を、切削加工といった従来の方法で製作されたパターンの表面うねりと比較することも目的とする。
中心的な研究:
本研究では、特別に設計された研究用パターンを、PJM、FDM、SLSの各技術を用いて、それぞれ2種類の異なる積層厚で製作した。比較対象として、木材とPA6アルミニウム合金を切削加工したパターンも用意した。これらのパターンの表面うねりを接触式測定器で測定し、Wa(算術平均うねり)、Wq(二乗平均平方根うねり)、Wt(最大高さうねり)、Wsk(スキューネス)といったパラメータを算出した。得られたデータを比較分析することで、各技術と積層厚が表面うねりに与える影響を定量的に評価した。
5. 研究方法
研究デザイン:
本研究は、異なる製造技術とパラメータが鋳造パターンの表面うねりに与える影響を評価するための比較実験研究として設計された。研究対象として、抜き勾配や丸み半径など、典型的な鋳造パターンの特徴を持つ専用のパターンが設計された。
データ収集と分析方法:
データ収集には、Taylor Hobson Form Talysurf PGI 1200接触式表面形状測定システムが使用された。測定速度0.5 mm/s、サンプリング密度Δx = 1 µmの条件下で、各サンプルの表面プロファイルを測定した。得られたプロファイルデータから、ISO規格に基づき、Wa、Wq、Wt、Wskの表面うねりパラメータを算出した。さらに、光学顕微鏡を用いて表面の微細構造を観察し、うねりの性質を視覚的に分析した。
研究対象と範囲:
研究対象は、3つのアディティブテクノロジー(PJM、FDM、SLS)と2つの従来工法(木材およびアルミニウム合金の切削加工)である。アディティブテクノロジーについては、各技術で2つの異なる積層厚(Lt)を可変パラメータとして設定した。すべての3Dプリントサンプルは、作業プレート上の位置、すなわち角度Pd = 0°で統一して製作された。
6. 主要な結果:
主要な結果:
- PJM技術は、特に積層厚Lt = 0.016 mmの場合に、テストされた3Dプリンティング技術の中で最も小さい表面うねり(Wa = 1.29 µm)を示した。
- FDM技術は、特に積層厚Lt = 0.33 mmの場合に、最も大きい表面うねり(Wa = 33.87 µm)を示した。
- FDMおよびPJM技術では、積層厚が増加するにつれて表面うねりも増大した。
- SLS技術では、積層厚が0.1 mmから0.2 mmに増加すると、表面うねりが減少するという逆の相関関係が観察された(Waは10.5 µmから6.42 µmに減少)。
- 比較対象の中で、切削加工されたアルミニウム合金パターンが、すべてのサンプルの中で最も小さい表面うねり(Wa = 0.72 µm)を示した。
- 切削加工された木製パターンの表面うねり(Wa = 6.33 µm)は、SLS技術(Lt = 0.2 mm)で製作されたパターンのうねり(Wa = 6.42 µm)と同程度であった。
Figure Name List:


- Fig. 1. Research model with the surface waviness measurement location
- Fig. 2. 3D printers and printed patterns: a) PJM (Conex 350), b) FDM (Dimension 1200), c) SLS (Formiga P100)
- Fig. 3. Surface waviness measurement of a casting pattern made of PA6 aluminum alloy
- Fig. 4. Surface waviness profiles of casting patterns made with selected additive technologies, where: a) FDM technology (Pd = 0°, Lt = 0.254 mm), b) FDM technology (Pd = 0°, Lt = 0.330 mm), c) PJM technology (Pd = 0°, Lt = 0.016 mm), d) PJM technology (Pd = 0°, Lt = 0.033 mm), e) SLS technology (Pd = 0°, Lt = 0.1 mm), f) SLS technology (Pd = 0°, Lt = 0.2 mm)
- Fig. 5. Optical light microscopy images of analyzed surfaces of casting patterns made with selected additive technologies, where: a) FDM technology (Pd = 0°, Lt = 0.254 mm), b) FDM technology (Pd = 0°, Lt = 0.330 mm), c) PJM technology (Pd = 0°, Lt = 0.016 mm), d) PJM technology (Pd = 0°, Lt = 0.033 mm), e) SLS technology (Pd = 0°, Lt = 0.1 mm), f) SLS technology (Pd = 0°, Lt = 0.2 mm)
7. 結論:
本研究の結果、鋳造パターンの表面うねりは、使用されるアディティブテクノロジーの種類と積層厚に大きく影響されることが明らかになった。Wa、Wq、Wtパラメータで定義される表面うねりは、PJM技術で印刷されたパターンで最小となり、FDM技術で最大となった。FDMおよびPJM技術では、積層厚の増加が表面うねりの増大につながったが、SLS技術では逆の傾向が見られた。FDMおよびSLS技術で製作されたパターンの表面うねりは、従来工法で作られた木製パターンのうねりと同程度であった。これらの結果は、用途に応じて適切な技術とパラメータを選択することの重要性を示している。
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専門家Q&A:トップエンジニアの疑問に答える
Q1: なぜ、より一般的に研究されている「表面粗さ」ではなく、「表面うねり」を主要な評価指標として選んだのですか?
A1: 論文では、3Dプリンティングの場合、技術的パラメータの影響は表面うねりのような、より長い範囲の不規則性に対してより顕著に現れると述べています。積層というプロセスの性質上、短い波長の「粗さ」だけでなく、より長い波長の「うねり」が系統的に発生します。このうねりは、鋳型の表面品質や最終的な鋳造品の幾何公差に直接影響を及ぼすため、本研究では評価指標として特に重要視されました。
Q2: SLS技術において、積層厚を厚くした方が表面が滑らかになるという直感に反する結果が出たのはなぜですか?そのメカニズムについて教えてください。
A2: 論文では、この現象はCO2レーザーのエネルギー集中に起因する可能性があると示唆しています。粉末の層が非常に薄い場合(Lt = 0.1 mm)、特定の場所にレーザーエネルギーが過度に集中し、局所的な過剰溶融や「溶け込み(penetration)」が発生して不規則な表面を形成する可能性があります。一方、層を厚くする(Lt = 0.2 mm)ことで、エネルギーがより効果的に分散され、均一な焼結が促進される結果、うねりが減少したと考えられます。
Q3: この研究では印刷方向を固定していますが(Pd = 0°)、もし方向を変えた場合、結果はどのように変わると予想されますか?
A3: 本研究は積層厚に焦点を当てていますが、論文自体も印刷方向が寸法精度や表面品質に影響を与える重要なパラメータであることを複数の先行研究を引用して認めています。印刷方向を変えると、特に曲面や傾斜面における「積層段差(stair-stepping effect)」の現れ方が根本的に変わるため、測定される表面うねりのプロファイルやパラメータ値も大幅に変化することが確実です。
Q4: 3Dプリンティングで得られた最高の表面品質は、従来工法と比較してどの程度のレベルですか?
A4: 3Dプリンティングで最良の結果を示したPJM技術(Wa = 1.29 µm)は、切削加工された木製パターン(Wa = 6.33 µm)よりも大幅に優れていました。しかし、切削加工されたアルミニウム合金パターン(Wa = 0.72 µm)には及びませんでした。一方で、SLS技術(Lt = 0.2 mm)やFDM技術(Lt = 0.254 mm)で得られた表面は、切削加工された木製パターンと同等か、わずかに優れているレベルでした。
Q5: 論文では接触式の測定システムを使用していますが、非接触の光学式システムではなく、なぜこちらが選ばれたのですか?
A5: 論文の結論部分では、この用途に対して接触式の測定法を推奨しています。その理由として、「光学的手法の適用は多数の未測定点を生じさせ、測定の精度に影響を与える」と明記されています。これは、3Dプリントされた部品の表面特性(例えば、半透明性、反射率、急な角度など)が、光学式システムによる信頼性の高いデータ取得を困難にすることを示唆しています。
結論:より高い品質と生産性への道筋
鋳造パターンの製作における時間とコストという根深い課題に対し、3Dプリンティング 鋳造パターンは強力な解決策となります。しかし、本研究が明らかにしたように、その真価を発揮するには、技術とパラメータの適切な選択が不可欠です。PJM技術が最高の表面品質を提供し、FDMはうねりが大きい一方で、SLSでは積層厚と品質の関係が単純ではないことが示されました。これらの知見は、R&Dおよび製造現場のエンジニアが、最終製品に求められる品質とコスト、納期のバランスを取りながら、最適な製造戦略を立てるための貴重な指針となります。
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