ロータースキューがモーター効率に与える隠れた影響:損失測定における画期的な進歩

この技術概要は、B.N.Shamsadeen氏がリバプール大学(1990年5月)で発表した学術論文「THE ACCURATE MEASUREMENT OF LOSSES IN SMALL CAGE INDUCTION MOTORS USING A BALANCE CALORIMETRIC METHOD」に基づいています。本資料は、モーターのエンジニアおよび設計者の皆様に向けて、CASTMANの専門家がGemini、ChatGPT、GrokなどのLLM AIの支援を受け、分析・要約したものです。

Figure 3.2 Isometric sketch of the calorimeter
Figure 3.2 Isometric sketch of the calorimeter

キーワード

  • 主要キーワード: 誘導モーター損失測定
  • 副次キーワード: 平衡熱量測定法、かご形誘導モーター効率、ロータースキュー、漂遊負荷損、モーターエアギャップ、電磁損失、モーター性能試験

要旨

(30秒で読みたいモーター設計エンジニア向け)

  • 課題: 誘導モーターの損失を測定する標準的な手法はしばしば不正確であり、ロータースキューやエアギャップといったパラメータが実環境で与える影響を定量化し、設計を最適化することが困難でした。
  • 手法: 非常に高精度な「平衡熱量測定法(balance calorimetric method)」を開発しました。この手法は、モーターを断熱容器内に設置し、発生した熱を補助ヒーターによって平衡させることで、モーターの電磁損失を直接測定し、約9ワットという高い分解能を達成しました。
  • 重要な発見: 負荷時において、モーター損失はローターかごのスキュー角に明確に依存し、特に1固定子スロットピッチ(SSP)のスキューで最大に達することが明らかになりました。これは基本波磁界のみに基づく理論モデルとは矛盾しており、高調波磁界が重要な役割を果たしていることを示唆しています。
  • 結論: 設計で一般的に採用される1 SSPのスキューは、意図せずモーター損失を増大させ、効率を低下させている可能性があります。本研究は、これらのトレードオフを定量化する高精度な手法を提供し、より効率的なモーター設計を可能にします。

課題:本研究がダイカスト専門家にとって重要な理由

数十年にわたり、モーター設計者はエネルギー損失を正確に測定・予測するという課題に取り組んできました。入出力法や損失分離法といった手法は広く用いられていますが、モーター全体の効率や熱性能に大きな影響を与える漂遊負荷損を精密に定量化するには限界がありました。この不確実性は、ダイカスト製ローターかごの形状や、ローターと固定子間の精密なエアギャップといった重要な設計パラメータを最適化しようとする際の大きな障害となります。

メーカーがより高い効率基準とコンパクトな設計を追求する中で、あらゆる設計選択に伴う損失を正確に予測・測定する能力は、これまで以上に重要になっています。正確な測定がなければ、エンジニアは経験則や不完全なモデルに頼らざるを得ず、結果として性能向上の大きな機会を逃す可能性があります。本研究は、設計の妥当性を自信を持って検証するために必要な精度を提供する測定技術を導入することで、この問題に根本からアプローチします。

アプローチ:研究手法の解説

従来手法の限界を克服するため、研究者らは平衡熱量測定法を開発・採用しました。その原理は非常に洗練されており、効果的です。

  1. モーター試験: 試験対象のモーター(5.5kW TEFV誘導モーター)を、断熱性の高い筐体である熱量計内に設置します。所定の負荷条件で熱的に安定するまで運転させ、熱量計を通過する冷却空気の入口と出口の温度差を精密に測定します。この温度上昇が、モーターの損失によって発生した総熱量に相当します。
  2. 平衡試験: 次に、モーターへの電力供給を停止し、摩擦損と風損の影響を再現するために外部のDCモーターで同じ速度で回転させます。熱量計内部にある別の調整可能な抵抗ヒーターに通電し、その電力を注意深く調整して、モーター試験で測定された冷却空気の温度差と全く同じ温度差を再現します。

このときヒーターに供給された電力が、モーターの全電磁損失(総損失から摩擦損と風損を差し引いたもの)の直接的かつ非常に正確な測定値となります。この「平衡」というアプローチは、他の熱量測定法における主要な誤差要因であった空気の比熱や密度を測定する必要性を巧みに回避します。

画期的な成果:主要な発見とデータ

この緻密なアプローチにより、特にロータースキューの影響に関して、誘導モーターの損失挙動に関するいくつかの重要な知見が得られました。

  • 発見1:無負荷条件下ではスキューとの相関は見られず。 無負荷試験では、損失は供給電圧やエアギャップの大きさの変化に伴い予想通りに変動しましたが、損失とローターかごのスキュー角との間に意味のある相関関係はないと結論付けられました(抄録、7.2節)。これは、無負荷時には基本波のローター電流がほぼゼロであるためです。
  • 発見2:負荷がかかると状況は一変。 モーターに負荷がかかると、明確かつ予想外のパターンが現れました。全電磁損失はスキュー角がゼロから0.5 SSPに変化するにつれて増加し、1固定子スロットピッチ(1 SSP)のスキューで最大値に達しました。その後、スキュー角がさらに大きくなると損失は減少しました(抄録、7.3節)。1 SSPのスキューは騒音やトルクリップルを低減するために一般的に採用される設計であるため、これは非常に重要な発見です。
  • 発見3:実験データが理論に挑戦。 基本磁界のみに基づいた理論モデルが開発されました。このモデルでは、損失はスキュー角の増加に伴い連続的に増加すると予測されました。しかし、測定結果が1 SSPで明確なピークを示したという事実は、高調波磁界やその他の複雑な影響が、損失のスキュー依存性に重要な役割を果たしていることを証明しています(抄録、7.9節)。
  • 発見4:本手法は精度の新たな基準。 本研究では、平衡熱量測定法が正確で再現性が高く、約9.4Wの分解能を持つことが繰り返し実証されました(7.1節)。これにより、本手法はモーター設計や性能モデルを検証するための強力なツールとして確立されました。

ダイカスト製品への実用的な示唆

ダイカスト部品を用いた電気モーターの設計や使用に携わるエンジニアやメーカーにとって、本論文の知見は直接的かつ実用的な意味を持ちます。

  • モーター設計エンジニアへ: 本研究は、1 SSPのロータースキューを用いるという従来の常識には、モーター効率との直接的なトレードオフが伴うことを強く示唆しています。このデータは、特にエネルギー消費が重視される用途において、より低い損失と高い効率を達成するためにわずかに異なるスキュー角を選択するなど、設計者がより多くの情報に基づいた意思決定を下すことを可能にします。
  • 品質管理担当者へ: 本研究では、本来同一であるはずのローター間で損失にばらつきがあることが指摘され、その原因として製造公差やダイカスト製かごの導体間インピーダンスの不均一性が挙げられています(5.5節、7.3節)。これは、予測可能で一貫したモーター性能を確保するためには、高品質で均一なダイカスト製ローターがいかに重要であるかを浮き彫りにしています。ダイカストの品質が、モーターの最終的な電磁性能に直接影響を与えるのです。
  • 研究開発およびシミュレーションチームへ: 基本波磁界モデルと実験結果との間に見られた乖離は、明確な指針を示しています。すなわち、スキュー付きモーターの正確なシミュレーションには、高調波磁界の影響を含める必要があるということです。本研究は、より高度な有限要素解析(FEA)やその他のシミュレーションモデルを校正・検証するための貴重な実験的ベンチマークとなります。

論文詳細


小型かご形誘導モーターにおける損失の精密測定:平衡熱量測定法を用いた研究

1. 概要:

  • タイトル: THE ACCURATE MEASUREMENT OF LOSSES IN SMALL CAGE INDUCTION MOTORS USING A BALANCE CALORIMETRIC METHOD
  • 著者: B.N.Shamsadeen
  • 発行年: 1990年
  • 発行学術誌/学会: リバプール大学
  • キーワード: 熱量計、誘導モーター損失、ロータースキュー、エアギャップ、平衡法、漂遊損

2. 抄録:

熱量計を用いた電気機器の損失の精密測定について述べる。機器は断熱された筐体内に収められ、作動流体の温度上昇から熱出力を得る。試験対象の5.5kW TEFV誘導モーターでは、作動流体として空気が用いられたが、この熱量計はIEC 34で想定されているものとは大きく異なる。空気の比熱、密度、温度の決定に伴う問題を、平衡測定法を用いることでいかに克服できるかを示す。試験結果から、この損失測定法が正確で再現性があり、約9Wの分解能を持つことが確認された。

この熱量計を用い、電源電圧と電流の値を変化させながら、エアギャップとローターかごのスキューを変動させた際の損失(風損および摩擦損を除く)の変化を調査した。無負荷時には、電圧とエアギャップによる損失の変動は予想通りの傾向を示すが、損失とロータースキューの間には相関関係がないと結論付けた。しかし、モーターに負荷がかかると損失がスキューに依存するようになり、1 SSPのスキューで損失が最大になることが示された。

基本波磁界のみに基づいた理論的考察も提示する。このモデルに基づく計算では、考慮した範囲(0から1.5 SSP)において、スキューの増加と共に損失は連続的に増加することが示唆される。測定結果では1 SSPで最大値が観測されており、この比較から、高調波磁界やその他の影響が損失のスキュー依存性において重要な役割を果たしているに違いないことが示唆される。

結論として、平衡熱量測定法による損失測定は非常に正確であり、特に非正弦波電源を使用する駆動システムにおいて大きな貢献を果たす可能性がある。

3. 序論:

序論では、電気機器をより小型化・高出力化するという技術的トレンドが強調されている。この進歩は、熱を発生させる電力損失を管理する能力によって制約を受ける。機器が小型化するにつれて、熱管理の重要性は増す。したがって、これらの損失に関する正確な知識を持つことは、メーカーにとって不可欠である。等価回路や有限要素法(FEM)のような予測手法は存在するが、それらには限界があり、全ての設計に対して総損失を正確に予測することはできない。本稿では、入出力法のような標準的な測定技術が、特に漂遊損のようなより小さな損失成分を測定しようとする際に、大きな不確かさを伴う可能性があることを指摘する。機器から放散される熱を測定することで損失を直接測定する方法として、熱量測定法を紹介する。

4. 研究の概要:

研究テーマの背景:

誘導モーターの損失を正確に測定することは、その効率と性能を向上させる上で基本となる。既存の標準的な手法には、特に漂遊負荷損に関して精度の点で既知の限界がある。熱出力を直接測定する熱量測定法はIECのような規格で認識されているが、実施が困難で非実用的であると考えられてきた。

先行研究の状況:

BinnsとWood [14]による先行研究では、IEC規格とは異なる、補助ヒーターを「平衡モード」で利用する熱量測定法が探求された。これは有望であったが、改良の余地があった。本研究はその基盤の上に成り立っており、この手法を全閉型機器に拡張し、全体的なシステムを改善してより高い精度を目指すものである。

研究目的:

主な目的は、小型TEFV誘導モーターにおける正確な損失測定のための平衡熱量測定法を調査し、改良することであった。副次的な目的は、この高精度な手法を用いて、無負荷および負荷条件下で、主要な設計パラメータ、具体的にはローターかごのスキューとエアギャップ幅を変化させることによって引き起こされる損失の変動を体系的に調査することであった。

中核的研究:

研究の中核は、高度な熱量計システムの設計、構築、および試験であった。このシステムを用いて、5.5kWのTEFVかご形誘導モーターに、それぞれ特定のスキュー(0から1.5 SSPまで)を持つ13種類の異なるローターを取り付け、様々なエアギャップで232回以上の試験を実施した。本研究では、損失の様々な構成要素を丹念に分離し、スキュー、電圧、電流に伴うそれらの変動を分析した。最後に、実験結果と比較するための理論モデルを構築した。

5. 研究方法論

研究設計:

本研究は、「誘導モーター試験」とそれに続く「平衡試験」という2段階の実験手順を中心に設計された。

  1. 誘導モーター試験: モーターは熱量計内で特定の負荷と電圧の下で運転され、熱平衡に達する。冷却空気の温度上昇(Δt)が記録される。
  2. 平衡試験: モーターの電源は切られるが、DCモーターによって同じ速度で回転させられる。補助ヒーターの電力は、同じΔtが達成されるまで調整される。このヒーター電力が、モーターの電磁損失に直接相当する。
    この方法論は、ロータースキュー、エアギャップ、供給電圧、負荷電流を変化させる試験条件のマトリックス全体にわたって適用された。

データ収集と分析方法:

包括的な測定・制御システムが構築された。これには、電源変動を排除するための制御電圧源、一定の電流を維持するための負荷制御システム、および入口空気のための温度制御ユニットが含まれていた。マイクロプロセッサベースの監視システムが、2分ごとに10個のパラメータを記録した。電力、電圧、電流、滑りなどの主要な測定値は、校正された高精度の計測器で取得された。固定子銅損を正確に計算するために、各試験後に外挿法によってDC抵抗が測定された。

研究テーマと範囲:

本研究は5.5kW、4極、D132SフレームのTEFV誘導モーターに焦点を当てた。調査項目は以下の通り。

  • ロータースキューの影響(5つの値:0, 0.5, 1.0, 1.28, 1.5 SSP)。
  • エアギャップの影響(3つの値:公称値±20%、約0.24, 0.30, 0.36 mm)。
  • 無負荷時の供給電圧の影響(定格±10%)。
  • 負荷時の負荷電流の影響(定格±10%)。
  • 単層巻線と二層巻線の固定子の比較。

6. 主要な結果:

主要な結果:

  • 平衡熱量測定法は、モーター損失を測定するための非常に正確で再現性の高い手法であり、9.4Wの分解能が実証された(7.1節)。
  • 無負荷条件下では、モーター損失とローターかごのスキューとの間に相関関係はない。ただし、損失はエアギャップと供給電圧に応じて予想通りに変動する(7.2節)。
  • 負荷条件下では、損失はロータースキューに明確に依存する。最大損失は1固定子スロットピッチ(1 SSP)のスキューで観測された(7.3節)。
  • ほとんどのローターにおいて、エアギャップを増やすと無負荷損失と負荷損失の両方が減少した(5.4節、5.5節)。
  • スキュー付きモーターの理論モデルが開発された。このモデルでは、固定子およびローターの漏れリアクタンスはスキューと共に増加し、磁化リアクタンスは減少すると予測された。また、損失はスキューと共に連続的に増加すると予測されたが、これは測定結果と矛盾しており、非基本波磁界効果の重要性が高いことを示している(6.3節、7.9節)。
  • 公称的に同一のローター間で、導体間のインピーダンスに有意なばらつきが測定され、製造公差がモーター性能に与える影響が浮き彫りになった(5.7節)。

図のリスト:

Figure 3.9- Specific heat capacity cp of air for different values of humidity and temperature.
Figure 3.9- Specific heat capacity cp of air for different values of humidity and temperature.
  • Fig .1.1 “Open” type
  • Fig .1.2 “Closed” type
  • Figure 3.1 Overall arrangement of the calorimeter system
  • … (以下、韓国語版と同様の図リストが続きます) …
  • FIG. 5.35. LOAD LOSSES AT 100% RATED CURRENT

7. 結論:

平衡熱量測定法は、小型かご形誘導モーターの損失を測定するための信頼性が高く、非常に正確な技術であることが証明された。本研究では、この手法を成功裏に用い、ロータースキューが無負荷損失にはほとんど影響を与えない一方で、負荷損失には1 SSPのスキューでピークを示すなど、重要かつ複雑な影響を与えることを実証した。この発見は、一般的な設計慣行と単純化された理論モデルの両方に疑問を投げかけるものであり、非常に重要である。エアギャップと電圧による損失の変動は、予想された傾向に従った。本研究は、設計変更の現実的な効果を理解するためには損失を正確に測定することが不可欠であり、熱量測定法がこの目的のための優れたツールであると結論付けている。

8. 参考文献:

  • [14] - Binns, K.J., Wood, A.W."The calorimetric measurement of the losses of induction motor" Third year project, University of Southampton.
  • [25] - Binns, K.J., Dye, M." Effect of slot skew and iron saturation on cogging torques in induction machines" Proc. IEE, Vol. 117, No. 7, July 1970 pp 1249 to 1251.
  • [28] - Alger, P.L."Nature of induction motors" Gordon And Research Science Publishers 1970.
  • [29] - Binns, K.J., Hindmarsh,R., Short, B.B." Effect of skewing slots on flux distribution in induction machines" Proc. IEE, Vol. 118, No. 3/4, March/Appril 1971 pp 543 to 549.
  • [30] - Odok, A.N."Stray load losses and stray totque in induction machines" Trans. AIEE, 1958, 77,Pt. III pp 43- 53.
  • [32] - Waterson,D.G., Bagk,S., Diemoz,E. "Transfer of heat in electrical rotating machines, . Determination of rotor bar to bar crosspath impedance in cage induction motors " ERA Technology ,ERA report 88- 0351 issue 3, ERA Project 44-02-0213.

専門家Q&A:疑問を解決

Q1: なぜこの熱量測定法は、標準的な入出力法よりも損失測定に優れているのですか?
A1: 入出力法は、測定された入力電力から測定された出力電力を差し引いて損失を算出します。現代のモーターは非常に効率が高いため(例:90%以上)、損失は総電力のわずかな割合に過ぎません。大きな入力または出力の測定値におけるわずかな誤差が、算出された損失値においては非常に大きな誤差につながる可能性があります。平衡熱量測定法は、損失を(熱として)直接測定することでこれを回避し、約9Wの分解能でより正確かつ再現性の高い結果を提供します。[出典: 抄録、1.5節、7.1節]

Q2: 1 SSPのスキューが最も損失を大きくするという結果でしたが、スキューは有益なものではないのですか?
A2: ご指摘の通り、スキューはコギングトルクや磁気騒音といった望ましくない影響を低減する上で有益です。しかし、本研究は重要なトレードオフを明らかにしました。いくつかの問題を解決する一方で、1 SSPのスキューはモーターに負荷がかかった際に最も高い電磁損失を発生させることが判明しました。これは、設計者がスキューの利点と、損失増加および効率低下という不利益との間で慎重にバランスを取る必要があることを示唆しています。[出典: 抄録、7.3節、図5.35]

Q3: 新しい誘導モーターを設計する上で、私が得るべき最も重要な教訓は何ですか?
A3: 最も重要な教訓は、1 SSPのスキューが全ての設計において最適な選択であると自動的に仮定すべきではない、ということです。本研究は、この一般的な慣行がモーターの効率を損なう可能性があるという強力な証拠を提供しています。特定の用途に合わせて騒音、トルク、効率のバランスを取る最適なスキュー角を見つけるために、高調波磁束を考慮した高度なシミュレーションツールを使用するか、高精度な物理試験を実施することの重要性を強調しています。[出典: 7.3節、7.9節]

Q4: 論文では、無負荷時にはスキューと損失に相関がないと述べられています。なぜ負荷時では状況が異なるのですか?
A4: 無負荷時、ローター電流は摩擦を克服するのに必要な分しか流れず、非常に小さいです。磁界およびそれに関連する損失は、ほぼ完全に固定子によって決定されます。一方、負荷時には、大きな電流がローター導体に誘導されます。固定子の磁界とローターの磁界との間の相互作用が支配的になります。スキューは、モーターの軸方向に沿ってこの相互作用を変化させ、不均一な磁束分布や追加の高調波効果を生み出し、無負荷時には存在しなかった追加の損失を発生させるのです。[出典: 7.2節、7.3節]

Q5: 本来同一であるはずのローター間での損失のばらつきはどの程度重要で、これは製造にどのような意味を持ちますか?
A5: 本研究では、同一設計のローター間で測定可能な損失の差が発見されました。例えば、1 SSPのスキューを持つローターは、同じエアギャップの無負荷条件下で最大30Wの差がありました(表5.1)。論文では、この原因を製造公差、特にダイカスト製ローター導体間の絶縁性やインピーダンスのばらつきに帰しています。これは、ダイカストを含むローター製造プロセスの均一性と品質が、予測可能で再現性のある性能を持つモーターを生産するために極めて重要であることを意味します。[出典: 5.7節、7.3節]

結論と次のステップ

本研究は、誘導モーターの効率を理解し、最適化するための貴重かつ精密なロードマップを提供します。その発見は、ロータースキューのような確立された設計ルールにも複雑なトレードオフが存在し、それを正確に測定・管理できるようになったことを示し、品質向上のための明確でデータに基づいた道筋を提示しています。

CASTMANでは、お客様の最も困難なダイカスト問題解決のため、最新の業界研究を応用することに全力を注いでいます。モーターの性能は、その構成部品、特にダイカスト製ローターかごの精度と品質に直結します。本稿で議論された効率と性能の最適化という課題が貴社の事業目標と共鳴するものであれば、当社の先進的なダイカスト技術が、これらの高度な原理を貴社の部品にどのように実装できるか、ぜひ当社の技術チームにご相談ください。

著作権

  • 本資料は、"B.N.Shamsadeen"氏の論文を要約したものです。「THE ACCURATE MEASUREMENT OF LOSSES IN SMALL CAGE INDUCTION MOTORS USING A BALANCE CALORIMETRIC METHOD」に基づいています。
  • 論文出典: 1990年5月、リバプール大学提出の博士論文。

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