This paper introduction was written based on the 'Improving Die Casting Melt Quality and Casting Results with Melt Quality Analysis and Filtration' published by 'Proceedings, 4th International Conference on Molten Aluminum Processing, AFS'.
1. 概要:
- タイトル: ダイカスト溶湯品質と鋳造結果の改善:溶湯品質分析とろ過 ('Improving Die Casting Melt Quality and Casting Results with Melt Quality Analysis and Filtration)
- 著者: Dr. David V. Neff
- 出版年: 論文中に明記されていません。
- 出版ジャーナル/学会: 会議録:第4回国際溶融アルミニウム加工会議、AFS
- キーワード: ダイカスト, 溶湯品質, ろ過, ボンド粒子フィルター, アルミニウム, 介在物, 溶湯清浄度, 減圧試験, Qualiflash, Prefil Footprinter, PodFA, K-Mold, Tatur試験, 機械的試験

2. 概要または序論
概要
自動車用途におけるアルミニウム鋳物の使用は、著しいペースで拡大し続けています。大量生産の要求は、高圧、低圧、永久金型、精密砂型鋳造プロセスによって満たされています。これらの用途に対する技術的要件は、アルミニウム合金溶湯の状態に始まる、高度な鋳造健全性を要求しています。
本論文では、特に介在物に関する溶湯品質の清浄度を評価するためのいくつかの現場および実験室的方法、ならびにボンド粒子フィルターを用いた持続使用型炉内ろ過システムから得られる利点について紹介します。
ボンド粒子ろ過を利用することで、機械加工不良の削減、表面仕上げの向上、伸びの増加、リーカーの減少、および全体的なスクラップ削減において、最小限のコスト、労力、リスクで大幅な改善が可能です。
序論
アルミニウム鋳造の生産量とプロセス技術の成長は、過去10年間で非常に著しいものでした。エンジン部品、構造部品、ホイール、その他の機能部品への自動車用途の拡大は、この成長の主要な要因です。このような鋳物のより高い特性要求は、より厳格な金属清浄度管理、すなわち多孔性/微細孔隙率を最小限に抑えるための介在物と水素含有量の管理を可能にする優れた金属品質と溶湯処理プロセスを要求してきました。清浄な金属を製造するための溶湯処理には、フラックス処理および/またはフラックス注入、脱ガス、ろ過が含まれます。ろ過プロセスは現在、事実上すべてのアルミニウム形状鋳造作業で採用されています。期待され、達成される典型的な利点には、(1)鋳造プロセス中の金属流動性と湯回り性の向上、(2)鋳造特性の向上、(3)被削性の向上、(4)表面仕上げの向上、(5)スクラップおよび不良鋳物の全体的な削減が含まれます。
圧力ダイカスト、特定の重力ダイカストまたは永久金型プロセス、および大量の生砂または化学結合砂型鋳造プロセスでは、絶対的な注湯点、すなわち金型内ろ過を提供することは現実的ではありません。したがって、残された選択肢は、溶解/再溶解炉および鋳造炉に、可能な限り注湯点に近い位置にフィルターを設置することです。ボンド粒子フィルターは、ほとんどの場合、このような炉内用途に最適なフィルターとして登場しました(Neff、1995)。このフィルターは、溶融アルミニウム中で長期間にわたって劣化しない独自のセラミックバインダーで結合された炭化ケイ素の凝集体です。炭化ケイ素材料は、非常に耐久性があり、熱伝導性にも優れているため、長期間の連続使用に最適です。ボンド粒子フィルターの低い多孔性、内部構造の曲がりくねり、および介在物を捕捉および保持するバインダーシステムの親和性は、全体的な介在物除去効率を高めます。
一般的な構成には、鋳造炉または「ボックスフィルター」(図1b)の炉床とディップアウトウェルを分離する垂直ゲートフィルター(図1a)が含まれます。後者は、炉の形状と取鍋のサイズに合わせてさまざまな幾何学的形状とサイズに構成でき、より大きな表面積を提供するという利点があります。鋳造される金属は、保持炉またはるつぼ炉に設置されたフィルター容器の内部から自動取鍋または手動ディップされます。
3. 研究背景:
研究トピックの背景:
アルミニウム鋳造業界、特に自動車用途では、大幅な成長を遂げてきました。この拡大は、高圧ダイカスト、低圧ダイカスト、永久金型鋳造、精密砂型鋳造などのプロセスを使用した複雑な部品の大量生産の需要によって推進されています。これらの用途に対する技術的要件は、アルミニウム合金溶湯の品質に根本的に依存する、優れた鋳造健全性を必要としています。高い鋳造健全性を達成するには、特に溶湯の清浄度に関して、溶湯状態を綿密に管理する必要があります。
既存研究の現状:
フラックス処理、脱ガス、ろ過などの溶湯処理プロセスは、清浄なアルミニウム溶湯を製造するために不可欠です。特にろ過は、事実上すべてのアルミニウム形状鋳造作業における標準的な慣行となっています。ボンド粒子フィルターは、炉内ろ過用途に最適な技術となっています。独自のセラミックバインダーで結合された炭化ケイ素凝集体で構成されるこれらのフィルターは、溶融アルミニウム中での劣化に対する耐性を提供し、持続的かつ継続的な使用のために設計されています。低い多孔性や曲がりくねりなどの構造的特徴と、バインダーの介在物親和性と相まって、介在物除去効率の向上に貢献しています。
研究の必要性:
ろ過が広く採用されている一方で、その有効性と結果として得られる溶湯品質の向上を定量化することは依然として重要です。ダイカストメーカーは、巨視的な観察を超えて、ろ過性能を評価する方法を必要としています。生産規模の実験と継続的な生産環境の両方で、ボンド粒子ろ過によって達成された溶湯清浄度の向上を評価するために、定量的および半定量的な手法が必要です。この評価は、鋳造プロセスを最適化し、欠陥を削減し、ダイカスト部品の全体的な品質を向上させるために不可欠です。
4. 研究目的と研究課題:
研究目的:
主な研究目的は、ダイカスト溶湯品質とそれに続く鋳造結果を向上させるにおけるボンド粒子ろ過の有効性を実証し、定量化することです。本研究は、溶湯清浄度と鋳造性能の厳密な評価を通じて、ボンド粒子フィルターを用いた炉内ろ過システムの利点を実証することを目的としています。
主要な研究:
本研究は、ダイカストの文脈における溶融金属清浄度を評価するための、確立された手法と新しい手法の両方の評価に焦点を当てています。この研究では、次のような方法の適用を調査します。
- 減圧試験
- 実水素測定(Alscan、Hyscan、Leco分析)
- Qualiflash 流動性試験
- Prefil Footprinter 試験
- PodFA(多孔質ディスクろ過装置)またはLAIS(液体アルミニウム介在物サンプラー)試験
- 機械的試験
- Tatur 試験
- K-Mold 試験
研究の中核は、これらの手法を適用して、生産規模の実験と継続的な生産環境におけるボンド粒子ろ過による溶湯品質の向上を評価することです。
研究仮説:
ボンド粒子ろ過の実施は、溶融金属清浄度の大幅な向上につながると仮説を立てています。この改善は、以下のように現れると予想されます。
- ダイカスト中の金属流動性と湯回り性の向上。
- 優れた鋳造機械的特性、特に伸び。
- ダイカスト部品の被削性の向上。
- 鋳物の表面仕上げの向上。
- ダイカスト生産における全体的なスクラップおよび不良率の削減。
5. 研究方法
研究デザイン:
本研究では、実験室規模の評価と生産現場での試験を組み合わせて、ボンド粒子ろ過の影響を包括的に評価します。実験室実験は、管理された設定で産業条件をシミュレートするために、生産規模の溶湯で実施されました。生産試験は、実験室での調査結果を実際の製造環境で検証するために、実際の圧力および重力ダイカスト工場で実施されました。
データ収集方法:
溶湯品質データは、以下を含むさまざまな分析手法を使用して収集されました。
- 減圧試験: 全体的な溶湯清浄度を評価し、水素含有量を推定するため。
- Alscan: 溶融金属中の水素含有量をリアルタイムで測定するため。
- Qualiflash: 溶融金属の流動性を評価するため。
- Prefil Footprinter: 業界のベンチマークと比較して、金属清浄度のリアルタイム分析を提供するため。
- PodFA: 試験フィルターに濃縮された介在物の金属組織学的評価のため。
- 機械的試験: 引張強度、降伏強度、伸び、および疲労強度を、鋳造試験片を使用して決定するため。
- Tatur 試験: 収縮と多孔性分布を測定するため。
- K-Mold 試験: 破断面のマクロ欠陥を視覚的に検査するための現場試験。
スクラップ率、機械加工不良、表面仕上げ品質などの鋳造性能データも、生産試験から収集されました。
分析方法:
Alscan、Prefil Footprinter、機械的試験、Tatur試験などの定量データは、ろ過による改善の有意性を判断するために統計的に分析されました。減圧試験、Qualiflash、PodFA、K-Moldなどの半定量的な手法は、溶湯清浄度と欠陥レベルの比較評価を提供するために使用されました。ろ過溶湯と非ろ過溶湯の結果を比較して、ボンド粒子ろ過の利点を定量化しました。金属組織学的検査と画像分析は、PodFA試験での介在物評価に利用されました。
研究対象と範囲:
調査の主な材料は、ダイカストで一般的な合金であるLM24(A380)アルミニウム合金でした。この研究は、ボンド粒子フィルターの一種である8グリットMetaullicsボックスフィルターを使用した炉内ろ過システムに焦点を当てました。研究範囲は、実験室シミュレーションと、圧力および重力ダイカスト工場内の実際の生産環境の両方で、溶湯品質と鋳造結果を評価することを含みました。
6. 主な研究結果:
主要な研究結果:
この研究により、ボンド粒子ろ過がダイカスト溶湯品質と鋳造結果を大幅に改善することが実証されました。主な調査結果は次のとおりです。
- 溶湯清浄度の向上: Prefil Footprinter試験(図9a、9b)、PodFA分析(図10、11)、およびK-Mold試験(図12a、12b)は、非ろ過溶湯および業界標準と比較して、ボンド粒子ろ過による溶湯清浄度の向上を一貫して示しました。
- 金属流動性の向上: Qualiflash試験(図13a)およびPrefil Footprinter曲線(図9a、9b)は、ろ過溶湯における金属流動性の向上を示しており、湯回り性の向上を示唆しています。
- 伸びの増加: 機械的試験(表2)により、ろ過サンプルで伸びが大幅に向上していることが明らかになりました。これは、構造鋳物にとって重要な特性です。引張強度と降伏強度は、適度に清浄な溶湯では予想どおり、有意な影響を受けませんでした。
- 欠陥の削減: 生産工場のデータ(表3)およびK-Moldの結果(図12b)は、ろ過金属を使用した場合、機械加工作業における硬点、リーカー、スクラップ率、および工具破損の減少を示しました。
- Tatur試験の改善: Tatur試験の結果(表1)は、ろ過材で収縮体積が3%減少し、湯回り距離が10%長くなっていることを示しており、湯回り特性の向上を示唆しています。
提示されたデータの分析:
- Prefil Footprinter曲線(図9a、9b): ろ過された金属は、より急な曲線を示し、より速い流量、したがってより優れた流動性を示し、「清浄な金属」業界標準に適合していることを示しました。生産工場のPrefilの結果(図9b)は、ろ過による大幅な改善を確認しました。
- PodFAの結果(図10、11): 20 ppiセラミックフォームフィルターおよび非ろ過溶湯と比較して、8グリットボンド粒子フィルターで総介在物含有量が減少したことを実証しました。図11は、フラックス注入後でもろ過によって達成された改善をさらに強調しています。
- K-Mold試験の結果(図12a、12b): ろ過溶湯と非ろ過溶湯を明確に区別し、ろ過サンプルは一貫して低いKファクター値(欠陥が少ない)を示しました。生産ダイカストメーカーのK-Moldの結果(図12b)は、380合金で優れた結果が得られたことでこれらの調査結果を裏付けました。
- Qualiflashの結果(図13a): 実験室環境でボックスフィルターを使用すると、流動性(より高いQレベル)が大幅に向上することが実証されました。
- Tatur試験の結果(表1): ろ過が収縮および湯回り特性にプラスの影響を与え、ろ過材は収縮体積の減少と湯回り距離の改善を示しました。
- 機械的特性データ(表2): ろ過サンプルの伸びの顕著な増加を強調しましたが、引張強度と降伏強度はほとんど影響を受けませんでした。
- 工場の利点データ(表3): 炉内ボンド粒子ろ過により、硬点の解消、リーカーの削減、工具寿命の延長、スクラップ率の削減などの利点を経験した工場の実際の例を提供しました。
図の名前リスト:








- 図 1a: 垂直ゲートフィルターは、鋳造炉の出口ウェルまたはディップウェルに設置されています。
- 図 1b: ボックスフィルターは、るつぼ炉または他の炉タイプのディップウェルで役立ちます。
- 図 2: 減圧試験は、鋳物工場やダイカストメーカーが金属品質を評価するために使用する最も一般的なツールです。
- 図 3: Qualiflash試験は、溶融金属の流動性を半定量的に測定します。
- 図 4: Prefil Footprinterは、蓄積された業界データと比較して、金属清浄度のリアルタイム分析を提供します。(N-Tec)
- 図 5: PodFA試験は、収集されたサンプルで金属組織学を使用して金属清浄度を評価する一般的な方法です。
- 図 6: 複数の試験片金型は、機械的試験用の試験片を鋳造するために使用されます。(N-Tec)
- 図 7: Tatur試験は、収縮と多孔性を測定します。(N-Tec)。
- 図 8: K-Moldは、マクロ清浄度を評価する簡単な現場でのリアルタイム試験です。
- 図 9a: Prefil曲線は、通常の業界データと比較して、フィルターによる流動性の向上を示しています。
- 図 9b: 生産工場のPrefilの結果は、ろ過の利点を検証しています。
- 図 10: PodFAの結果は、20 ppiセラミックフォームフィルターに対する8グリットボンド粒子フィルターの改善を示しています。
- 図 11: PodFAの結果は、フラックス注入後のろ過によるさらなる改善を示しています。
- 図 12a: 連続再利用後の実験室K-moldの結果。同じ金属の。
- 図 12b: 生産ダイカストメーカーのK-Moldの結果は、380合金で優れた結果を示しています。
- 図 13a: Qualiflashによる実験室の結果は、ボックスフィルターによる大幅な改善を示しています。
7. 結論:
主な調査結果の要約:
本研究は、ボンド粒子ろ過がダイカスト溶湯品質と鋳造性能に有益な影響を与えることを決定的に実証しています。さまざまな溶湯品質評価手法と生産データを利用して、この研究は、ボンド粒子フィルターを使用した炉内ろ過が、溶湯清浄度を効果的に高め、金属流動性を改善し、伸びを増加させ、鋳造欠陥とスクラップ率を削減することを確認しています。これらの改善は、ダイカスト作業に具体的な利点をもたらし、より高品質の鋳物と生産コストの削減に貢献します。
研究の学術的意義:
本研究は、ダイカストの文脈におけるさまざまな溶湯品質評価方法の包括的な評価を提供します。優れたアルミニウム溶湯品質を達成するための重要な溶湯処理プロセスとしてのボンド粒子ろ過の有効性を科学的に検証します。この研究は、ろ過が溶湯清浄度にどのように影響し、その結果として鋳造特性に影響を与えるかについての基本的な理解に貢献します。
実際的な意義:
調査結果は、ダイカスト業界に大きな実際的な意義を提供します。この研究は、鋳造品質と操業効率を向上させるためのベストプラクティスとして、ボンド粒子フィルターを使用した炉内ろ過の採用を強く推奨しています。この研究は、プロセス監視と最適化のために溶湯品質評価手法を採用することの重要性を強調しています。ダイカストメーカーは、これらの調査結果を活用して、効果的なろ過戦略を実施し、欠陥を削減し、被削性を向上させ、最終的には鋳物の市場性を高めることができます。
研究の限界と今後の研究分野:
この研究は、ボンド粒子ろ過の利点に関する確固たる証拠を提供していますが、特定の結果は、工場固有の条件、合金の種類、および鋳造プロセスによって異なる可能性があることを認めています。今後の研究では、以下を調査できます。
- さまざまな合金および鋳造用途向けのろ過パラメーター(例:フィルター孔径、流量)の最適化。
- 産業環境におけるボンド粒子フィルターの長期的な性能と耐久性の評価。
- 多様なダイカスト作業における炉内ろ過の実施に関する詳細な費用便益分析。
- 本研究で評価されたもの以外に、ろ過が他の鋳造欠陥および機械的特性に与える影響の調査。
- ろ過プロセスと統合されたリアルタイム溶湯品質監視および制御システムの開発。
8. 参考文献:
- 1. Neff, D., "continuous, Sustained, “Re-useable” Filtration Systems for Aluminum Foundries and Diecasters, Proceedings, 4th International Conference on Molten Aluminum Processing, AFS, Orlando, November, 1995, р.121
- 2. Law, J., Tian, C., Murray, M., “Experiences in the Measurement of Molten Metal Quality in a High Pressure Diecasting Foundry", Transacations, NADCA 1999, p.235
- 3. Evans, C., Willmert, W., “Qualiflash as it Relates to Filtration and Degassing for Foundry and Extrusion Alloys" Proceedings, Fifth International Conference, Molten Aluminum Processing, AFS, Orlando, November, 1998, p. 349
9. 著作権:
- この資料は、"Dr. David V. Neff"氏の論文:「ダイカスト溶湯品質と鋳造結果の改善:溶湯品質分析とろ過」に基づいています。
- 論文ソース: 論文中に明記されていません。
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