1.概要:

論文タイトル: 電気自動車とハイブリッド電気自動車のための空冷式バッテリー熱管理システムに関するレビュー
著者: Gang Zhao, Xiaolin Wang, Michael Negnevitsky, Hengyun Zhang
掲載年: 2021年
掲載誌: Journal of Power Sources
キーワード: 電気自動車、リチウムイオン電池、空冷、バッテリー熱管理システム、レビュー

2. 研究背景:

本論文は、1900年代以降の温室効果ガス(GHG)濃度の上昇、特に内燃機関(ICE)による化石燃料の燃焼が主な原因であることを指摘しています。輸送部門はこれらの排出量に大きく寄与しており、温室効果ガス排出量削減と地球温暖化対策として、電気自動車(EV)とハイブリッド電気自動車(HEV)が注目されています。EVとHEVのパフォーマンスと寿命においてバッテリーの熱管理が重要な役割を果たすことが強調されています。

リチウムイオン電池は、高い比エネルギー密度と出力密度、軽量設計、長いサイクル寿命、比較的低い自己放電率などの利点から、EVとHEVで広く使用されています。しかし、リチウムイオン電池は熱暴走を起こしやすく、特定の条件下では火災や爆発の危険性があるという欠点も指摘されています。そのため、効果的なバッテリー熱管理システム（BTMS）が必要不可欠です。既存の研究では、液冷、相変化材料（PCM）、ヒートパイプなどが一般的なBTMSアプローチとして挙げられていますが、EVとHEVにおける空冷式BTMSに関する包括的なレビューは不足しているとして、本研究が実施されました。

3. 研究目的と研究課題:

主な目的は、EVとHEVにおける空冷式BTMSを包括的にレビューすることです。重要な研究課題としては、以下のような点が考えられます。

リチウムイオン電池をEVとHEVに使用する利点と欠点は何ですか？
リチウムイオン電池における発熱メカニズムは何ですか？過剰な発熱の結果（熱劣化、熱暴走）は何ですか？
空冷式BTMSの基本的な設計原則は何ですか？
空冷式BTMSのパフォーマンスを向上させるために、どのような革新的な設計改良が実施されてきましたか？（バッテリーパックレイアウトの最適化、冷却チャネル設計の革新、改良された吸気/排気構成、高度な熱伝導材料の使用など）
空冷式BTMSのパフォーマンスと安全性を向上させるための将来の研究方向と潜在的な解決策は何ですか？

4. 研究方法:

本研究は、文献レビューの方法論を用いています。著者らは、空冷式BTMS、リチウムイオン電池、EV、HEVに関連するキーワードを用いて、Scopus、Web of Science、IEEE Xploreなどの関連データベースを体系的に検索したと思われます。収集された文献は、傾向の特定、さまざまな設計アプローチの評価、既存の空冷式BTMS技術のパフォーマンスと限界の評価を行うために分析されました。レビューには、実験的研究と計算流体力学（CFD）シミュレーションから得られた定量的データ（温度分布、発熱率など）が含まれている可能性があります。

5. 主要な研究結果（部分的なテキストに基づく）：

部分的なテキストから、研究の主要な結果の一部がわかります。

発熱メカニズム: 論文では、リチウムイオン電池における発熱メカニズムについて論じており、可逆的および不可逆的な発熱について説明していると考えられます。これらのメカニズムは、セル電流、充電状態（SOC）、温度、内部抵抗などの要因と関連付けられています。発熱と温度上昇を支配する方程式が提示され、議論されている可能性があります。
熱暴走: 熱暴走の深刻な結果（火災や爆発を含む）が強調されています。熱暴走につながる根本的な化学的および物理的プロセスが説明されていると考えられます。
空冷式BTMS設計: 空冷式BTMSの基本原理が記述されており、受動冷却システムと能動冷却システムが区別されていると考えられます。受動システムは自然空気の流れに依存する一方、能動システムは冷却を強化するためにファンやブロワーを使用します。
設計改良: 部分的なテキストは、空冷式BTMSのパフォーマンスを向上させることを目的としたいくつかの革新的な設計改良についてレビューしていることを示唆しています。これらの改良は、おそらく次のようなカテゴリに分類されます。
- バッテリーパック設計: 気流と放熱を改善するために、パック内のバッテリーセルの配置と間隔を最適化すること。さまざまな配置（並列、直列、スタガードなど）が比較されます。
- 冷却チャネル設計: 熱伝達効率を向上させるために、冷却チャネルの形状と寸法を変更すること。さまざまなチャネル形状（Z型、U型など）について議論されています。
- 吸気/排気設計: 気流分布を改善し、圧力降下を低減するために、空気の吸気口と排気口の位置と構成を最適化すること。
- 熱伝導材料: バッテリーセルから冷却空気への効率的な熱伝達を促進するために、熱伝導率の高い材料を使用すること。

Fig. 1. A schematic diagram of the air-cooling BTMS.

Fig. 2. Three-stack battery pack with stagger-arranged Lithium-ion battery cells on each stack (Ref. [158]).

Fig. 3. Different cooling channel designs.

6. 結論と考察:

結論では、空冷式BTMSの長所と短所が要約されていると考えられます。空冷式BTMSは費用対効果が高く、実装が容易ですが、極端な動作条件（高温環境、高Cレートの充放電など）では十分な冷却性能が得られない可能性があります。考察セクションでは、冷却性能、コスト、複雑さ、重量のトレードオフについて検討し、空冷式BTMSのパフォーマンスを向上させるための潜在的な戦略（液冷やPCMなどの他の技術とのハイブリッドアプローチの検討など）を提案していると考えられます。空冷式BTMSの課題と限界に対処するためのさらなる研究の必要性が強調されているでしょう。

7. 今後の研究:

今後の研究の方向性としては、以下の点が考えられます。

A review of air-cooling battery thermal management systems for electricand hybrid electric vehicles