本概要は、欧州アルミニウム協会が発行した「The Aluminium Automotive MANUAL」に基づき、アルミニウムを使用した自動車車体および車体部品の製造におけるダイカスト技術の適用に焦点を当てています。

1. 車体部品およびモジュール:
- 統合: アルミニウム部品は、さまざまな接合方法を使用してスチール製車体構造に安全に統合できます。
- 考慮事項: アルミニウムとスチールの間のガルバニック腐食を避けるために、設計および保護が必要です。スチールとアルミニウムの熱膨張係数の違いを設計プロセスで考慮する必要があります。
- 塗装: 塗装済みのBIW(Body-In-White)にアルミニウム部品を取り付けることは、通常、通常の条件下では問題ありません。塗装前にアルミニウム部品を統合するには、残留内部応力または幾何学的変形を防ぐ必要があります。
2. エンジンクレードルおよびエンジンマウント:
- 機能: エンジンクレードルは、サブシステムの構造的サポートを提供し、コンポーネント(パワートレイン、フロントサスペンション、ステアリングシステム)の位置を特定し、パワートレインコンポーネントを保護し、構造的剛性を高めるのに貢献します。
- 軽量化: アルミニウム製エンジンクレードルは、軽量化の機会を提供します。
- 例:
- シート集約型アルミニウムエンジンクレードル(フォードP2000):鋳造品、ハイドロフォームチューブ、および成形シート部品を使用して組み立てられました。重量削減(スチール21.7 kgからアルミニウム14.4 kg)。
- 押出成形ベースのエンジンクレードル(ゼネラルモーターズ):スチールと比較して32%の軽量化。
- 押出成形ベースのエンジンクレードル(シボレーモンテカルロおよびインパラ):ロボットMIG溶接によって組み立てられた機械加工された押出成形品とシートスタンピングで構成されています。
- 鋳造アルミニウムエンジンクレードル(メルセデス・ベンツCクラス(C204)):Silafont®-36合金で製造され、時効硬化処理されています。
- アルミニウムエンジンクレードル(キャデラックCTS):大きな中空鋳造品と押出成形品を組み合わせています。
- バイメタルエンジンクレードル(コスモ):スチールチューブと、チューブ端部にアルミニウムA356が鋳造されています。
- 鋳造アルミニウムフロントクロスメンバー(ポルシェパナメーラ):(写真:GF Automotive)。
- エンジンマウント用の鋳造アルミニウムエンジンブラケット。例:
- 高圧ダイカストで製造されたアルミニウムエンジンブラケット:上に示されているブラケットの重量は1.5kgで、BMW6気筒エンジンN52用の合金Silafont®-36(AISI9MgMn)で製造されています。鋳造された状態で使用されます。現代の高性能エンジンのブラケットは動的負荷に関して最高の要件を満たす必要があり(つまり、鋳造材料は高い破壊靭性を示す必要があります)、Silafont®-36のような高品質のアルミニウム鋳造合金の適用が必要です。
- 鋳造アルミニウムエンジンブラケットのその他の例(写真:Aluminium Rheinfelden)







3. サスペンションストラットドーム:
- 機能: サスペンションストラットを車両に取り付け、ショックアブソーバーとスプリングをサポートし、ステアリングピボットを含む場合があります。
- 製造: アルミニウム鋳造は、複数のスチール製アセンブリを置き換えることができ、軽量化と製造工程の削減が可能です。
- 例:
- 真空高圧ダイカストによって製造されたサスペンションストラットドーム(合金:GD-AlSi10Mg(A239))。
- アルミニウム製サスペンションストラットドーム(BMW 5シリーズモデル、合金AlMg5Si2Mn)。
- アルミニウム製サスペンションストラットドーム(ポルシェパナメーラ、合金AlMg5Si2Mn)、シャシーの剛性を高めるためにAピラーに接続する構造アーム付き。
4. フロントエンドキャリア:
- 機能: フロントエンドコンポーネント(ヘッドライト、ラジエーター、冷却ファン)を収容し、安全性に貢献し、ねじり剛性に影響を与えます。
- 材料: 従来はスチールまたはアルミニウムでしたが、現在は混合材料設計が多いです。
- 例:
- BMW 3シリーズカブリオレのフロントエンドキャリア(Silafont®-36合金で製造)。
- アウディTT用のプラスチック-アルミニウム複合構造として製造されたフロントエンドキャリア。
5. クロスカービーム(インストルメントパネルサポート):
- 機能: 計器を取り付け、Aピラーを接続し、構造的サポートを提供します。
- 要件: 高い構造的剛性と安全性能が必要です。
- 利点: アルミニウム製インストルメントパネルは、スチールと比較して軽量化を実現します。
- 例:
- 鋳造アルミニウムクロスカービーム。
- 押出成形インストルメントパネルサポート(SAPA Aluminium)。
- VW PQ24プラットフォーム用に製造されたすべてのアルミニウム製インストルメントパネルサポート。
- VW PQ24プラットフォームのインストルメントパネルサポートに使用されるアルミニウム製品形態。
- アルミニウムコックピットキャリア(アウディA6/A7(C7))。
- メルセデス・ベンツAクラスモデル用のインストルメントパネルサポート。
6. リアフレーム:
- 例:
- コルベットZR-1/LT-1(C5)では、リアフレーム(スペアホイールと燃料タンクをサポート)は、合金EN AW-6061およびEN AW-6063のアルミニウム押出成形品を使用して組み立てられました。
7. 車体構造におけるその他のアルミニウム部品:
- 用途: 床構造、スペアホイールリセス、内部仕切り壁。
- 例:
- メルセデス・ベンツSL(R231)のトランクリセス(合金EN AW-6016)。
- メルセデス・ベンツSL(R231)のアルミニウム製防火壁。
- Novelis Fusion™™-AS250で作られたアウディA8(D4)の床構造。
- テーラード溶接ブランクを使用して製造されたメルセデス・ベンツSL(R231)のトンネル。
- レンジローバー(L405)における合金Anticorodal®-300(T61テンパー)の適用。
- 7xxxシリーズ超高強度アルミニウム合金を使用して製造されたBピラー。
- メルセデス・ベンツSL(R231)で使用されているAlMgSi押出成形品を使用したドアシル。
- メルセデス・ベンツSL(R231)のリア縦方向セット(押出成形合金:EN AW-6106)。
- ジャガーXK&Fタイプモデル用のフロント縦方向部材(EN AW-6014押出成形品、EN AW-5754製の溶接アタッチメント付き)。
- ジャガーXK&Fタイプモデル用のBポストアウターセット(EN AW-6014押出成形品およびEN AW-5754アタッチメント)。
- 押出成形アルミニウム製ドアシルカバー(合金EN AW-6063)。
- メルセデス・ベンツSL(R231)用の床構造パネル。
- アウディA8用の鋳造アルミニウムフロント縦方向部材(合金AlSi10MgMnSr)。
- メルセデス・ベンツSL(R231)の鋳造アルミニウムリア縦方向フレーム。