この紹介論文は、[Applied Thermal Engineering]誌に掲載された論文「Medium temperature heat pipes – Applications, challenges and future direction(中温ヒートパイプ – 応用、課題、および将来の方向性)」の研究内容です。
![Fig. 5. STRATFLY MR3 Hypersonic vehicle concept by Fusaro et al. [78].](https://castman.co.kr/wp-content/uploads/image-1638-png.webp)
1. 概要:
- タイトル: Medium temperature heat pipes – Applications, challenges and future direction (中温ヒートパイプ – 応用、課題、および将来の方向性)
- 著者: Thomas C. Werner, Yuying Yan, Tassos Karayiannis, Volker Pickert, Rafal Wrobel, Richard Law
- 出版年: 2024年
- 掲載誌/学会: Applied Thermal Engineering
- キーワード: ヒートパイプ、熱管理、熱伝達、中温作動流体、二相熱伝達
2. 抄録
ヒートパイプは、特に航空宇宙、電子機器、自動車、発電業界において、熱管理に利用されてきました。動作温度範囲によって、特定の流体とケーシング材料が必要になります。300~600℃(「中温」または「中間温度」)の範囲で動作するヒートパイプの需要が高まっていますが、適切な作動流体が不足しているため、開発が進んでいません。本論文は、中温ヒートパイプの開発における主要な取り組みを要約し、有望な作動流体と壁材料に焦点を当てています。(a)現在のアプリケーション、(b)中温作動流体の研究、(c)ヒートパイプの性能予測の原理、(d)新規ヒートパイプ作動流体を中心とした今後の研究の方向性、および標準化された流体評価フレームワークについて検討しています。
3. 研究背景:
研究テーマの背景:
電力密度が増加しているため、最新のエンジニアリングにおいて熱管理は不可欠です。ヒートパイプは、従来の固体材料と比較して優れた熱伝達能力を提供します。
従来の研究の状況:
ヒートパイプは、極低温から高温まで、さまざまな温度範囲に対応して開発されてきました。しかし、中温域(300~600℃)では、作動流体の選択肢が限られているという課題があります。既存の研究は、長期的な適合性試験に重点が置かれ、分析的アプローチが限定的であるなど、一貫性に欠けることがよくあります。
研究の必要性:
中温域のヒートパイプの需要は高まっていますが、適切な作動流体が不足しているため、開発が妨げられています。従来の研究は断片的であり、包括的な解決策がありません。
4. 研究目的と研究課題:
研究目的:
中温ヒートパイプの開発における主要な取り組みを要約し、最も有望な作動流体と壁材料を明らかにすること。
主要な研究課題:
(a) 中温ヒートパイプの恩恵を受ける可能性のある現在のアプリケーション、(b) 中温作動流体に関する既存の研究、(c) ヒートパイプの性能予測、流体分析、流体/金属の適合性、および流体選択の背後にある原理、(d) 特に新規ヒートパイプ作動流体に焦点を当てた、潜在的な将来の研究の方向性。
5. 研究方法
この論文は文献レビューです。中温ヒートパイプに関する既存の研究を要約し、分析しています。本論文では、現在のアプリケーション、中温作動流体に関する以前の研究、ヒートパイプの性能の原理、および将来の研究の方向性を探ります。流体評価フレームワークが提案されています。研究デザインは、実験的研究、数値モデリング、理論的分析を含む、発表された文献のレビューと分析です。データ収集には、Scopus.com [29] などのデータベースで関連する出版物を検索することが含まれていました。分析には、研究結果の定性的評価と、流体特性および性能の定量的比較が含まれます。
6. 主要な研究結果:
主要な研究結果と提示されたデータ分析:
- 再生可能エネルギー市場: 集中型太陽光発電 (CSP) プラントは、多くの場合、中温域で動作します (表 1、図 3)。
- 廃熱回収: 高温廃熱 (300°C 以上) は、世界の廃熱回収ポテンシャルのかなりの部分を占めています [68]。
- 原子力市場: 核融合炉のダイバータターゲットプレートは、300~600℃の範囲で動作します (図 4)。
- その他の市場: 極超音速機の熱管理 (図 5) やエンジン壁の冷却も、潜在的なアプリケーションです。
- 既存の作動流体の課題:
- 水銀: 有毒、高密度、ウィックの濡れの問題 [83, 97]。
- 硫黄および硫黄/ヨウ素: 高粘度、低熱伝導率、化学的腐食性 [108]。
- 有機流体: 300℃~400℃で熱分解 [82, 93, 102, 104, 106]。
- カリウムおよびセシウム: 中温域での低い蒸気密度、取り扱いの難しさ、湿気に対する極端な感受性 [79]。
- ナトリウム/カリウム (Na/K): 800℃未満の温度での「間欠泉沸騰」現象 [105, 109, 110]。
- 作動流体の分類分析:
- 有機流体: 熱分解のため、一般的に400℃以下に制限されます (図 6、7、8、表 4)。
- 無機流体 (ハロゲン化物): 三臭化アンチモンは、試験されたハロゲン化物の中で最も優れた可能性を示していますが、320℃を超える低熱流束密度アプリケーションに限定されます (図 9、10、11、表 5)。
- 液体金属: 水銀とセシウムは理論的には中温域で動作できますが、実際的な課題に直面しています (図 12、13、14、表 6、7)。
- 無機混合物: 硫黄/ヨウ素およびナトリウム/カリウムは有望ですが、十分な特性データがありません (表 8)。
- 流体分析プロセスが提案されています (図 15)。
![Fig. 1. Papers published directly relating to heat pipes. Produced using data from Scopus.com [29].](https://castman.co.kr/wp-content/uploads/image-1639-1024x642.webp)
![Fig. 3. Share of subjects linked to the exploration of medium temperature heat pipes taken from 70 papers on the topic spanning 1972 to 2022. Produced using data
from Scopus.com [29].](https://castman.co.kr/wp-content/uploads/image-1640-1024x796.webp)
![Table 1
Specifications for main large-scale concentrated solar power plants Produced using data from He et al. [67]. Third generation plants are exploring the use of silica sand,
calcinated flint clay and ceramic particles as well as a range of chlorinated or carbonated molten salts as heat absorbing mediums within the medium temperature
range.](https://castman.co.kr/wp-content/uploads/image-1641-1024x219.webp)
Specifications for main large-scale concentrated solar power plants Produced using data from He et al. [67]. Third generation plants are exploring the use of silica sand, calcinated flint clay and ceramic particles as well as a range of chlorinated or carbonated molten salts as heat absorbing mediums within the medium temperature range.
![Fig. 4. Diverter target plate structure. A re-creation of images from You et al. [74].](https://castman.co.kr/wp-content/uploads/image-1642-png.webp)

![Fig. 14. Maximum thermal transport capacity for main liquid metals explored for use in the medium temperature range. Modelled with heat pipe dimensions
presented in the study by Werner et al. [114] (see Table 3).](https://castman.co.kr/wp-content/uploads/image-1644-png.webp)
図表名リスト:
- 図 1. ヒートパイプに直接関連する発表論文。Scopus.com [29] のデータを使用して作成。
- 図 2. 1960年から2022年までのヒートパイプ研究データへの貢献度上位13か国のシェア(図1)。Scopus.com [29] のデータを使用して作成。
- 図 3. 1972年から2022年までの70件の中温ヒートパイプに関する論文から、中温ヒートパイプの探求に関連するテーマのシェア。Scopus.com [29] のデータを使用して作成。
- 図 4. ダイバータターゲットプレートの構造。You et al. [74] の画像を再作成。
- 図 5. Fusaro et al. [78] によるSTRATFLY MR3極超音速機のコンセプト。
- 図 6. 中温域での使用が検討されている主な有機流体の液体輸送係数。
- 図 7. 中温域での使用が検討されている主な有機流体の蒸気圧。
- 図 8. 中温域での使用が検討されている主な有機流体の最大熱輸送能力。Werner et al. [114] の研究で提示されたヒートパイプの寸法でモデル化 (表 3 参照)。
- 図 9. 中温域での使用が検討されている主なハロゲン化物系流体の液体輸送係数。
- 図 10. 中温域での使用が検討されている主なハロゲン化物系流体の蒸気圧。
- 図 11. 中温域での使用が検討されている主なハロゲン化物系流体の最大熱輸送能力。Werner et al. [114] の研究で提示されたヒートパイプの寸法でモデル化 (表 3 参照)。
- 図 12. 中温域での使用が検討されている主な液体金属系流体の液体輸送係数。
- 図 13. 中温域での使用が検討されている主な液体金属系流体の蒸気圧。
- 図 14. 中温域での使用が検討されている主な液体金属系流体の最大熱輸送能力。Werner et al. [114] の研究で提示されたヒートパイプの寸法でモデル化 (表 3 参照)。
- 図 15. 流体分析と選択プロセス。
7. 結論:
主要な調査結果の要約:
中温ヒートパイプの必要性が高まっています。有機流体は、一般的に400℃以上では不適切です。ハロゲン化物系流体は、限られた性能を示します。液体金属は、理論的には最高の性能を示しますが、実際的な課題に直面しています。一部の混合物は有望ですが、データが不足しています。
{研究結果の要約。研究の学術的意義、研究の実用的な意味}
本論文は、特に新しい作動流体の開発と特性評価において、さらなる研究が必要であると結論付けています。標準化された流体評価フレームワークが、研究を加速するために提案されています。中央データベースとヒートパイプモデリングツールの開発が不可欠です。
8. 参考文献:
(省略:原文の参考文献リストを参照)
9. 著作権:
- この資料は、「Thomas C. Werner, Yuying Yan, Tassos Karayiannis, Volker Pickert, Rafal Wrobel, Richard Law」による論文「Medium temperature heat pipes – Applications, challenges and future direction」に基づいています。
- 論文の出典: https://doi.org/10.1016/j.applthermaleng.2023.121371
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