この紹介資料は、「[発行ジャーナル/学会名は論文に記載なし]」によって発行された論文「Efficiency and Cost Tradeoffs Between Aluminum and Zinc-Aluminum Die Cast Heatsinks」に基づいています。

1. 概要:
- 論文タイトル: Efficiency and Cost Tradeoffs Between Aluminum and Zinc-Aluminum Die Cast Heatsinks (アルミニウムおよび亜鉛-アルミニウム ダイカスト製ヒートシンク間の効率とコストのトレードオフ)
- 著者: Kurtis P. Keller
- 発行年: [論文に記載なし]
- 発行ジャーナル/学会: [論文に記載なし]
- キーワード: Heatsink, Die Casting, Aluminum, Zinc-Aluminum, Thermal Conductivity, Cost Analysis, Electronic Cooling, PixelFlow
2. 抄録:
高純度アルミニウムは、常に電子部品からの熱を除去するための優れたヒートシンク材料でした。しかし、特殊な形状の非押出ベースのヒートシンクの製造は、多くの材料ベースの問題を引き起こします。高純度アルミニウムはダイカストが非常に困難であり、通常、ダイカストプロセスを助けるために不純物を添加する必要があります。これらの少量の不純物により、材料の熱伝導係数はほぼ半分に低下します。結果として得られる熱伝導率は、多くの亜鉛ダイカスト材料のそれに非常に近くなります。ダイカストコスト、単価、高電力密度と低電力密度間の効率低下を比較するコストおよび性能分析が、様々な市販の亜鉛、亜鉛-アルミニウム、およびアルミニウムダイカスト材料間で検討されます。この検討は、44個のカスタムチップ(ダイあたり5ワットから55ワット)を利用する世界最速のグラフィックコンピュータであるUNCのPixelFlowの冷却システムの設計に関連して行われました。この9kWの空冷システムは非常にコンパクトで、寸法は18インチ×42インチです。短く高速な信号経路長は、近接して配置されたチップとカード間の熱を除去するための革新的で費用効果の高い方法を必要とします。
3. 序論:
コンピュータやその他の電子機器における電力密度の増加により、既製のヒートシンクの選択肢と使用能力は低下しています。低電力(最大3ワット)アプリケーションでは、単純なクリップオンヒートシンクが効果的ですが、プロセッサチップのようなより強力で熱に敏感なコンポーネントには、より高価な鋳造または押出フィンヒートシンクが必要です。最も高価で冷却が困難な電子機器には、液体、伝導、または浸漬冷却が必要ですが、これらは大規模な科学機関や政府以外ではコスト的に法外です。現代の電子パッケージンググループは、現在の安価な空冷システムの限界に達しており、商業的に禁止されている液体または伝導冷却方法の使用を必要とする傾向にあります。商業的に実行可能であり続けるためには、空冷システムの設計者は、システムの実際の空気の流れとヒートシンクの設計に注意を払う必要があります。既製の押出材は安価で、ほとんどの中〜高電力アプリケーションに効果的ですが、部品密度がかなり高い場合、押出材固有の欠点が明らかになります。表面積に対する熱伝導率はそれほど高くなく、多数を直列に配置するとかなりの背圧(back pressure)を引き起こす可能性があります(初期のPixelFlowボード設計における冷却問題を示すFigure 2参照)。既製のオプションが利用できないか不十分な場合、カスタム設計のヒートシンクが必要になります。この論文は特に、UNCのPixelFlowグラフィックコンピュータの冷却課題に対処しており、非効率的な既製設計(1個あたり$2.50)の代わりに、カスタムソリューション(Figure 3)を使用して1個あたりわずか$0.73の費用効果の高い解決策を必要としました。
4. 研究の概要:
研究テーマの背景:
電子部品の電力密度の増加傾向は、単純な既製のヒートシンクよりも高度な熱管理ソリューションを必要とします。コスト上の理由から空冷が好ましい方法ですが、高密度システムではその有効性が課題となります。カスタムヒートシンク設計が重要になります。
従来の研究状況:
標準的なソリューションには、既製のアルミニウム押出ヒートシンクが含まれます。これらは費用効果が高いですが、2Dジオメトリ、熱性能、および高密度構成での空気の流れの妨害(背圧)によって制限されます。液体または伝導冷却のようなより高価なオプションが存在しますが、主流製品には商業的に実行可能でないことがよくあります。カスタムオプションには、機械加工部品、鋳造/機械加工フィン、および完全鋳造ヒートシンクが含まれます。
研究の目的:
カスタムヒートシンク用の様々なダイカスト材料(亜鉛、亜鉛-アルミニウム、アルミニウム)を比較するコストおよび性能分析を実施すること。この研究は、高電力、高密度システム(UNCのPixelFlow)の冷却ソリューションを設計する文脈で、熱効率(主に熱伝導率)とコスト(金型費、単価)の間のトレードオフを評価することを目的としています。
研究の核心:
この研究は、特定の空気の流れ条件に最適化された複雑な3D形状のヒートシンクを作成するためのダイカストの適合性に焦点を当て、これをより単純な2D押出材と比較対照します。ヒートシンクの性能と製造に関連する材料特性を検討します:
- アルミニウム: 高純度の押出アルミニウムは優れた熱伝導率(160-180 W/m°C)を提供します。しかし、ダイカストアルミニウムは添加剤(例:シリコン)を必要とし、多孔性の影響を受け、伝導率が大幅に低下します(約96 W/m°C)。熱間静水圧プレス(hot isostatic pressing)のようなプロセスは伝導率を向上させることができますが、時間がかかり高価です。アルミニウムはまた、めっきが必要であり、コストが増加します。
- 亜鉛および亜鉛-アルミニウム合金: 標準的な亜鉛(Zamak 3)は、ダイカストアルミニウムよりも優れた伝導率(約113 W/m°C)を持ちます。亜鉛-アルミニウム合金(ZA-8、ZA-12、ZA-27)は改善された特性を提供します。ZA-8(約115 W/m°C)は、ダイカストアルミニウムと同等の伝導率を提供しますが、低多孔性、優れた鋳造性(より安価な非鋼製金型と高速サイクルが可能)、めっき不要、チップキャリアとほぼ一致する熱膨張係数、より高い強度など、大きな利点があります。ZA-27はより高い伝導率(約125 W/m°C)を提供しますが、熱膨張係数はあまり有利ではありません。
- 真鍮: 低い熱膨張係数のために考慮されますが、熱伝導率が低く(61 W/m°C)、アルミニウムと同様の鋳造困難性があり、コストが高いです。
- コスト対性能のトレードオフ: この研究は、中電力アプリケーション(3-7W)において熱伝導率を最大化する必要性に疑問を呈します。高伝導率材料とわずかに低い伝導率材料(例:亜鉛-アルミニウム)を使用した場合の温度差はわずか(1-2°C)かもしれませんが、コスト削減は大きい可能性があります。ケースから空気への熱抵抗が、ヒートシンク自体の内部抵抗ではなく、しばしば支配的な要因であることを強調します。
- 製造上の利点: ダイカストは、空気の流れと冷却効率を最適化できる複雑な3D形状(Figure 3の翼形デザインなど)を可能にし、押出アルミニウムと比較して低いバルク熱伝導率を相殺する可能性があります。亜鉛合金は、融点が低いため製造コスト上の利点を提供します。
5. 研究方法論
研究設計:
この研究は比較分析方法論を採用し、様々なヒートシンク材料(主にダイカストオプション対アルミニウム押出ベンチマーク)を熱性能、製造特性、およびコストに基づいて評価します。UNC PixelFlowグラフィック スーパーコンピュータ プロジェクトの設計要件と経験に大きく依存するケーススタディ アプローチを使用します。
データ収集および分析方法:
様々な合金(Zamak 3、ZA-8、ZA-27、Aluminum 357、Aluminum 380、Brass 360)の材料特性(熱伝導率、熱膨張、密度、融点、引張強度)に関するデータが収集されました。コストデータ(金型費、材料費、5,000個生産時の単価)は、ダイカスターからの見積もりを通じて収集された可能性が高いです(表の注記から示唆される)。温度勾配分析(例:Figure 2 - Heatsink Temperature Gradient)を含む熱性能が評価され、これは熱シミュレーション(シャーシの空気流れ解析にFEAが言及されている、Figure 4)によって情報を得た可能性が高いです。主要な特性とコストを要約するために、「Heatsink Material Comparison Table」が作成されました。
研究テーマと範囲:
この研究は、特に高密度、高電力アプリケーションにおける電子部品用の空冷式カスタムダイカストヒートシンクに焦点を当てています。範囲には、アルミニウム、亜鉛、および亜鉛-アルミニウムダイカスト合金の直接比較が含まれ、熱効率、費用対効果、製造可能性、および機械的特性(CTEの一致や強度など)を考慮します。分析は、PixelFlowシステム(44個のチップ、各5-55W)を冷却するという実際の要件によって枠組みが作られています。
6. 主要な結果:
主要な結果:
- アルミニウムのダイカストは、高純度押出アルミニウム(160-180 W/m°C)と比較して熱伝導率を大幅に低下させる不純物(例:シリコン)を必要とします(約96 W/m°C)。
- 亜鉛-アルミニウム合金、特にZA-8は、ダイカストアルミニウムと同等以上の熱伝導率(約115 W/m°C)を提供し、同時に大幅なコストおよび製造上の利点(低い金型コスト、速いサイクル、めっき不要)を持ちます。
- ZA-8はまた、アルミニウムと比較してほとんどのチップキャリアの熱膨張係数(CTE)により近い一致を提供し、熱応力を低減します。
- 亜鉛-アルミニウム部品はアルミニウムよりも強度が高く、フィンの損傷リスクを低減します。
- 多くのアプリケーションでは、より高い伝導率の材料(押出アルミニウムなど)を使用することによるわずかな理論上の熱性能向上は、特にケースから空気への抵抗が支配的であり、ダイカストがより効率的な3D形状を可能にする場合、より高いコストを正当化しない可能性があります。
- 亜鉛または亜鉛-アルミニウムで鋳造されたより大きなヒートシンクは、注入アルミニウムのような代替品よりも安価でありながら、低い伝導率を補うことができます。
- 「Heatsink Material Comparison Table」は、Zamak 3、ZA-8、ZA-27、注入Al 357、ダイカストAl 380、および真鍮360を主要な指標で比較する定量的データを提供します。特定の0.34 in³ヒートシンクの例(Figure 1)の5,000個生産実行では、ZA-8($0.41/個)はダイカストアルミニウム($1.20/個)または注入アルミニウム($1.25/個)よりも大幅に安価でした。
図の名称リスト:
- Figure 1 - Heatsink
- Figure 2 - Early fin style heatsink
- Figure 3 - Airfoil Zinc/AL Heatsink
- Figure 4 - Velocity Profile
- Figure 2 - Heatsink Temperature Gradient (注記: 論文では、この図を以前の「Figure 2 - Early fin style heatsink」とは別に「Figure 2」とラベル付けしています)
- Heatsink Material Comparison Table
7. 結論:
規模の経済性または特定の性能要件のためにカスタムヒートシンクが必要な場合、押出成形だけが唯一の選択肢ではありません。ダイカストは、2D押出材と比較して、より効率的で効果的な3Dヒートシンク形状を可能にします。一般的な鋳造材料で高純度押出アルミニウムの熱伝導率に匹敵するものはありませんが、ZA-8のような亜鉛-アルミニウム材料は十分に近いです。3D鋳造設計の熱伝導率の利点は、材料自体から認識されるインピーダンスの差を上回る可能性があります。さらに、亜鉛-アルミニウム部品はほとんどのチップキャリアの熱膨張に密接に一致し、アルミニウムよりも強度が高いため、露出したフィンの損傷を防ぎます。したがって、重量が重要でない高電力生産設計には、低コスト、高性能の亜鉛-アルミニウムダイカストヒートシンクが推奨されます。
8. 参考文献:
- Dash, Glen A., Editor, Compliance Engineering, 1993 Reference Guide, Boxboro, MA, Compliance Engineering, 1993.
- Dow Chemical, “Comparisons of Typical Casting Alloys," data sheets
- Flinn, Richard A. and Paul K. Trojan, Engineering Materials and Their Applications, Boston, Houghton Mifflin Company, 1981
- Keller, Kurtis and John Poulton, “Commercial Packaging Solutions for a Research Oriented Graphics Supercomputer," Advances in Electronic Packaging (Proceedings of the 1995 ASME / JSME Conference on Electronic Packaging), pp. 53 -58.
- Ozisik, Necati M., Heat Transfer a Basic Approach, McGraw-Hill, Inc. 1985.
- Tummala, Rao R. and Eugene J. Rymaszewski, Editors, Microelectronics Packaging Handbook, New York, Van Nostrand Reinhold, 1989.
- Yamaji, Y., Y. Atsumi and Y. Hiruta, "Thermal Characterization of LSI Packages Mounted on PC Boards: Evaluation of the Thermal Effects of PC Boards," Advances in Electronic Packaging (Proceedings of the 1992 ASME / JSME Conference on Electronic Packaging), pp. 199 - 205.
9. 著作権:
- この資料は「Kurtis P. Keller」氏による論文です。「Efficiency and Cost Tradeoffs Between Aluminum and Zinc-Aluminum Die Cast Heatsinks」に基づいています。
- 論文の出典: [DOI URLは論文に記載なし]
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